40年ほども前の朝日新聞京都支局で連載された料理記事の再刊ですが、今もって京都の「おばんざい」の真打ちでしょう。
著者の御三方のうち二人が亡くなって仕舞われましたが、書いて置かれた文章は瑞々しく、今でも作ろうとする限り、必ず成果の上がる指南書です。これ以外に、正統・町屋の「おばんざい」教科書はありません。
ただし、40年ほど前には、量の感覚が薄く、目分量でなさっていたらしくて、どれほどの量をどれだけ、といった親切さはありません。いろいろ聞いて見ると、各家庭でそれぞれ違っていて、統一も何も無かったようで……。ですから、適宜、基礎を押さえながら、自分たちにあった量とさじ加減を開発する手間は必要です。
それでも、読むだけでも京都の食事の多様さが伝わるようで、とても楽しい。私は料理に利用するのはもちろん、寝床に抱え込んで、ときどき読みながら眠ります。