1977年12月31日のライブ映像。カラヤン指揮ベルリンフィル (BPO) の数ある「第九」の中でも、最高の出来栄えだ。
第一に、演奏が素晴らしい。各楽器の磨き上げられたテクニック、大編成オケの完璧なアンサンブルに加え、実演ならではの圧倒的な熱気と高揚が見事!
第二に、録音が優秀だ。カラヤン/BPOによるベートーヴェンのCDや映像作品では、なぜか実演とは異なる音量バランスで収録されているものが多いが、このディスクでは、パワフルな低弦、パンチの効いたティンパニなど、コンサート会場で聴く音に近い音が楽しめる。セパレーション重視の録音だが、マスとしての響きにも不足はない。
第三に、映像作品としての完成度が高い。カラヤンの映像作品は、一般に、異なる演奏のツギハギや別撮り画面のハメコミが多用されていてライブのリアリティに乏しい上、暗い画面にカラヤンばかりが映り、楽器は部分のアップしか映らない、奏者が体の動きを制限されていてロボットが演奏しているように見える、というものが多く、熱心なカラヤンファン以外にはあまりお勧めできないのだが、バーンスタインの映像を手がけたハンフリー・バートンの監修によるこのディスクの映像は、カラヤンファンならずとも充分楽しめる仕上がりになっている。ハメコミ映像もないし、画面も明るい。そしてなにより、カメラワークが秀逸で、カラヤンの魅惑的な指揮姿と奏者たちの猛演が余すところなく伝えられていて、画面に釘付けになってしまう。特に、顔を真っ赤にして熱演を繰り広げるコッホのオーボエ、鮮やかな撥さばきを披露するフォーグラーのティンパニなどは、プロ奏者も必見の貴重な映像記録だ。
第九のライブ映像の決定版として、全てのクラシックファンにお勧めしたい。