タイトルは「交渉術」だが、いわゆる交渉のノウハウ本ではなく、少し暴露も入った元外務官僚の北方領土返還工作に関わる体験・経験記」・・という内容。
この手の本は結局内容が事実なのか作り話なのか思い込みなのか真実はわからない。
ただこの本は書かれている内容が真実(少なくとも著者にとっては)と信じて読むと非常に面白い。文章も読みやすく解りやすい。
ちまたのテレビや雑誌で解説者や知識人から「日本は外交戦略がなく交渉も下手、情報収集は行わず分析もしない。外国を見習え!」的な発言をよく聞かされ、「そういうもんかぁ」と私も半ば洗脳されているが、この本を読むと「いやいや意外に日本の政治家や官僚も将来を見据え戦略的に考えて行動している、捨てたもんじゃない!」と考えが変わってくる(まぁ、まがりなりにも一時期は経済大国として世界を席巻した国の舵取りを行っていたわけで当たり前と言えば当たり前だが・・・)。
本書では日本側の登場人物は鈴木宗男や橋本・森・小渕首相と外務官僚が中心となっている。
鈴木宗男はテレビ報道の印象でどことなく胡散臭いイメージがついていて、他首相達も決して政治家として印象が良いわけではなく、また「官僚」は現在の脱官僚の風潮から影響を排除すべきものとの感覚がついていたが、この本を読むと、鈴木氏も他首相も外務省も皆一生懸命にそれぞれの考える国益のため真面目にがんばっていたのだなと感動すらおぼえる。
最初に書いたように、この手の本は内容が真実なのか、作り話なのかは永遠に解らない。
ただ読み進むに従って真実であって欲しい、せめて著者の視線からは真実が書かれていて欲しいという願いが高まってくる。
タイトルが交渉術と言うぐらいなので本書の中で交渉シーンはいくつかあるが、読者が実生活の中でその内容が活かせるか?というと難しいと思う。ただ現在交渉で悩んでいる人に「もう少しがんばってみるかぁ」とやる気を起させるには役に立つ。