ただの化け猫映画ではありません。現代劇の中に巧みに時代劇を取り込み、ちゃんと怖い化け猫映画になっています。現代劇パートがモノクロ、時代劇パートがカラーという構成も素晴らしいです。
冒頭は大学の研究室。ここからもう意外です。暗闇に響く足音がスリリング。
そこから回想シーンになって、舞台は田舎の古びた屋敷。五月藤江のおばあさんが現れるのが、とっても怖い。声色を使ったりして屋敷に忍び込み、医者の奥さんの首を絞めます。モダンホラーのような派手な演出はありませんが、それだけに不気味。
この因果を和尚が話し、ここから時代劇。咲き誇る花を映したカラーにぱっと変わるのが鮮やかです。時代劇部分は正調化け猫映画で、壁に塗り込められる若侍の幽霊、自害するその母親の幽霊、血をなめる猫、行灯の油をなめるおばあさん、猫じゃらし、とよくある化け猫映画のパターンを踏襲しています。しかし、猫じゃらしの場面にしても、入江たか子の映画みたいにアクロバティックに前転したり倒立したりを延々と繰り返すのでなく、ややロング気味に地味に描いています。やっぱりお笑いになるのを避けたんでしょうね。化け猫メークも昔の映画みたいに派手じゃありません。五月藤江ですからリアルに怖いです。耳がぴょん、と飛び出すところだけは笑ってしまいました。
カラーパートが終わるとまたモノクロになり、再び怖いおばあさんが登場。そこからラストまではホントに怖いです。
こんな怖い化け猫映画もあるんだなあと感動しました。中川信夫の傑作の一つだと思います。