日本経済の入門書を見ると、国家予算のページで疑問が生じる。四苦八苦してやりくりする一般会計の報道が脳裏をよぎるなか、その規模が5倍ほどもある特別会計が、殆ど詳述されることなく、あるとだけ記述されているからである。規模が巨大ということは、それだけ余力があると考えるのが大方において妥当する。果たしてどういうことなのか。本書は特別会計の徹底的な調査をもとに、その構造から金の流れまでを白日の下に晒した渾身の書である。特別会計のウソ、カラクリをこれでもかというほどに明かしていく。著者が述べているように、公式発表されているデータをつなぎ合わせても、特別会計の収支の全貌は見えてこない。つまり国民には特別会計の真実は知らされていないのである。そして特別会計の剰余金はそのまま官僚の利権となり、その借金は国民の負担となる。「政治は、積立金と不用金というストックとフローの両面から余剰資金(埋蔵金)を捕捉し、一般財源と借金減らし(国債償還)に活用することを、ただちに考えなければならない。消費税の引き上げは順序として、その後である」(p208)。特別会計を知り尽くした著者の言葉は重い。著者の提言する「究極の制度改革」は強烈である。特別会計だけにとどまらない、「ムダの体系」そのものの全廃を目指している。少しずつではあるが、時代もそれを求め始めているのではないか。本書を読むほどに、政治が要であることをも痛感させられる。そして政治を求め、方向づけるのは国民である。日本のありかたを、そして未来を考える上で、必読の一書ではないだろうか。