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井筒俊彦―叡知の哲学
 
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井筒俊彦―叡知の哲学 [単行本]

若松 英輔
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

少年期の禅的修道を原点に、「東洋哲学」に新たな地平を拓いた井筒俊彦―その境涯と思想潮流を、同時代人と交差させ、鮮烈な筆致で描き出す、清新な一冊。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

若松 英輔
1968年新潟生まれ。慶應義塾大学文学部仏文学科卒。批評家。(株)シナジーカンパニージャパン代表取締役社長。「越知保夫とその時代」で第14回三田文学新人賞評論部門当選(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 468ページ
  • 出版社: 慶應義塾大学出版会 (2011/05)
  • ISBN-10: 4766418115
  • ISBN-13: 978-4766418118
  • 発売日: 2011/05
  • 商品の寸法: 19.6 x 13.7 x 3.1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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25 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
 本書は、批評家である若松英輔氏の処女作です。

 処女作とはいえ、とても完成度の高い作品です。後書きにも書いてあるように、二十年近くの時間をかけて準備されてきた著作だからだと思います。
 
 井筒俊彦の魅力的な「言葉」によって、いわば多くの種子を蒔かれた若松氏の心が、長い時間をかけて発酵させてきた洞察がまとめ上げられて、一つの「叡知」の世界を築き上げています。

 「叡知の哲学」という副題に著者がこめた思いは、単に、井筒が「叡知」を探求した哲学者であったという意味ではありません。そうではなく、「叡知」の方が「井筒」という詩魂を持った哲学者を通して、我々に語りかけている、という意味なのです。

 井筒は、驚くべき博識と独創性を兼ね備えた哲学者ですが、ことさらに自らの「新しさ」を強調するような人物ではありませんでした。そうではなく、東洋から西洋にいたる、そして古代から現代にいたる人類の叡知を、現代的な文脈で語り直すことを試みた人物でした。そのような試みが、自ずと、汲み尽くせない「常なる新しさ」を産んだのです。「叡知」の伝統に促されるように著作を書いている中で、井筒自身の意図をも超えて、驚くべき斬新な洞察が、こんこんと沸き上がっているのです。

 若松氏は、このような井筒の「述べて作らず」の精神を受け継いでいます。そして、井筒を促した同じ「叡知」の伝統に促されて井筒の評伝を書いたこの著作の中で、著者である若松氏自身の意図をも超えて、驚くべき斬新な洞察が、ページをめくるごとに、沸き上がっていることに読者は気づくはずです。

 井筒を読んだことのある人も、まだ読んだことのない方も、間違いなく、多くのものを得ることができる、素晴らしい本だと思います。

 
このレビューは参考になりましたか?
22 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
生前イスラーム哲学研究に世界的な規模で重大な貢献を果した井筒俊彦。本書は、イスラーム学者という限定的な枠組みから、哲学者井筒俊彦を解放し、壮大なスケールで展開される「井筒哲学」のエッセンスを抽出する画期的な作品だ。
そこでは、少年時代の禅的修道に始まり、ギリシャ哲学やイスラーム哲学との邂逅から、『意識と本質』等で独自の「コトバ」論に結実してゆく思想潮流が、井筒の生きた時代にそくして丹念に論じられてゆく。

数十か国語に通じた天才等として井筒俊彦はどこか神秘のベールに包まれていた印象が強かったが、本書『井筒俊彦―叡知の哲学』では、一人の哲学者として様々な人物と交わり、時代を生きた姿が真摯に描かれている。あたかも、近現代思想史の長編ドラマ、「物語」を読んでいるような気にさせてくれる貴重な一冊だ。 本書が井筒俊彦研究の先駆けとなることを祈念しつつ、新たな本格的批評家の誕生を祝福したい。
このレビューは参考になりましたか?
27 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
インドラの網 2011/5/20
 現代日本における数少ない未踏の思想的沃地とも言うべき井筒俊彦の生涯と著作に、資料の博捜と精読をもって臨んだ力作である。単なる学者の範疇をはるかに超える井筒のような思想家の本格的研究が、大学人あるいは職業的文筆家ではなく、ユニークな経歴をもつ、言葉の最良の意味でのアマチュアによってなされたことを慶ぶ。本書はまた、言葉の最良の意味でのブリコラージュである。悪しき「専門家」には書けないということを、著者はむしろ誇りとすべきであろう。
 インドラ神の宮居を飾る網(帝網)の結び目には無数の珠が用いられていて、そのおのおのが他を映し合っているという。空海的ともライプニッツ的ともボードレール的とも言えるこの広大な照応世界に、上田光雄、小辻節三、諸井慶徳、山崎弁栄といった、知られざるあるいは忘れられた変光星を見出すのは読書の歓びである。独創的な日本近現代思想史の素描としても本書を推すゆえん。さて、今後どんな星座が見えてくるのか、著者のさらなる研鑽に期待する。
 
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