大国主命を祭る出雲大社は、なぜ天照大神を祭る伊勢神宮よりも大きかったのか。
南朝の勇・楠木正成の像は、なぜ北朝の末裔である天皇家の皇居前にあるのか。
「巌流島」は、勝った武蔵の「二天一流」からではなく、なぜ負けた小次郎の「巌流」から名付けられたのか。
元号が明治になる際、なぜ朝廷は崇徳上皇の心霊を祭って白峯神宮を建てたのか。
藤原一族の女官である紫式部は、なぜ敵対する源氏のサクセスストーリーを書き、そしてなぜ藤原道長がそんな物語を褒めたのか。
全ての謎は「怨霊鎮魂」という一本の串でみごとに貫かれる。
歴史の因果関係を決して等閑にしない井沢氏のポリシーは今回も健在である。
このシリーズは、『逆説の日本史』に比べて冗長である。同じ内容が重複する部分が多い。
しかし、実用書を読み返す習慣があまりない私にとっては、この冗長さが理解と記憶の助けとなって重宝する。
情報量よりもわかり易さに重きを置いているからこそ、このシリーズのタイトルは『井沢式「日本史入門」講座』なのである。
読んだらすぐに人に教えたくなる。
私は高校の英語教師なので、職場ですぐに周りの教師に対して読んだ内容をひけらかした。
周りもわくわくした。
日本史はなんて面白いんだ、と思わせてくれる本である。
そして井沢氏の仮説を検証してみたい、と探究心をくすぐられる本である。