歴史推理の方法として、著者は実に明解な方法を前提としている。
彼は日本史の三大欠陥として
『実証主義の偏重』
『病的なほどの権威主義』
『宗教に対する無視』
を挙げている。著者はこれらを批判し、正史に偏らず、当時の人々の宗教観も視野に入れて読み解いていく。これが彼の方法論の前提である。
とくに序章に挙げられている「中日ドラゴンズの定理」は、その名前のいかがわしさとは裏腹に著者の歴史推理の基本的原理を簡単に明確に現わしている。とても読みやすくわかりやすい。このことは本文全体にも当てはまることである。
さて、本書では、大仏建立の真意・道鏡の実像・平安遷都・平安仏教成立・万葉集の謎といった奈良時代から平安時代初期頃までに起きた事物・事柄を、先に挙げた前提に基づいて、きわめて平易な文章で謎といてくれる。その謎解きは論理的に明解である。と同時に既存の歴史解釈とは異なる鮮やかなさばきっぷりに新鮮な謎解きへの躍動感と解明の斬新さへの驚嘆が心の中で交叉する。言うなれば、正統な原理に基づいた歴史書としても読めるし、わくわくどきどきしながら読める平易な歴史本として活用することもできる。
簡単な文章で歴史解釈を紐解いてくれる人はざらにはいない。本書はまさにその名のとおり、日本史、否、歴史への入門として最適の書籍である。目から鱗を出しながら、きちんと大脳新皮質(論理的)でも納得できる良書。