五輪書の原文が併記され、著者の解説の合間に心洗われる写真があり、親しみ易く読み易く丁寧に工夫された装丁になっている。
特に水の生態と彫像写真が美しく静から動の気迫が伝わってくるようだ。
但し私としては五輪書本文の解説にしっくり来ないところがあったりして多少気になった。マ、独断と偏見でありますが・・・
最初に先ず、だれよりも「臆病に生きた男」ではなかったか、は無かろう?と思う次第。臆病の反対は勇気(勇敢)である。勇気とは何か!小心でないこと、怖じけずその対手に立ち向うことを云う。しかし忍耐と細心の行動力がなければ蛮勇であり、之を真の勇者とは絶対に云わない。第一、武蔵が小心、臆病なら、あの環境では発狂するかノイローゼになって、誰かに敗れて死んでたろうし、仏神を頼まず等とは云える訳がない。細心(=繊細→やさしさ、思いやり)と小心は全然違う。
現代世相や読者を意識するのは決して悪いことではないが迎合しすぎると読む方が嫌になるし著書の品位も落ちる。広義に解釈するのも応用が利くので悪くは無いが五輪書の記述は常に死と対峙した武蔵の極意が合理的且つ簡潔、具体的である。人によっては原文の記述とやや乖離した印象を受けるかもしれない。そんな時、原文があるので自分の感性で読むには便利ではある。