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五声のリチェルカーレ (創元推理文庫)
 
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五声のリチェルカーレ (創元推理文庫) [文庫]

深水 黎一郎
5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 693 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容紹介

昆虫好きの静かな少年が起こした殺人事件。動機については頑なに口を閉ざす、その真意は――メフィスト賞受賞作家が技巧を尽くした表題作に短編を併載する、文庫オリジナル。

内容(「BOOK」データベースより)

昆虫好きの、おとなしい少年による殺人。その少年は、なぜか動機だけは黙して語らない。家裁調査官の森本が接見から得たのは「生きていたから殺した」という謎の言葉だった。無差別殺人の告白なのか、それとも―。少年の回想と森本の調査に秘められた“真相”は、最後まで誰にも見破れない。技巧を尽くした表題作に、短編「シンリガクの実験」を併録した、文庫オリジナル作品。

登録情報

  • 文庫: 288ページ
  • 出版社: 東京創元社 (2010/1/30)
  • ISBN-10: 4488404111
  • ISBN-13: 978-4488404116
  • 発売日: 2010/1/30
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.4 x 1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By トップ500レビュアー
形式:文庫
■「五声のリチェルカーレ」

  昆虫好きのおとなしい少年による殺人。その少年は、なぜか動機だけは
  語らなかった。家裁調査官の森本が聞き出せたのも「生きていたから殺
  した」という謎めいた言葉だけ。

  少年は何故、そして誰を殺したのか……?

  本作では、事件が起きるまでのいきさつを昆虫好きの少年の視点で描いた“過去”
  パートと、家裁調査官の森本が少年の犯行動機に迫ろうとする“現在”パートとが、
  ほぼ交互に展開されるという、カット・バックの形式が採られています。

  読者には、少年の動機だけでなく、被害者が誰かも明示されないのですが、
  ××を警戒する読者からすれば、より重要なデータが伏せられていることに
  すぐ気づくと思います。

  なので、勘のいい読者なら、真相は想定の範囲内かもしれません。

  しかし、本作の主眼は、仕掛けによるサプライズそのものではなく、フェアな
  伏線と巧緻な「騙り」の技巧が織り成す構成美にあると個人的には思います。

  そういった観点で本作を読み解く際、キーワード
  となるのが〈擬態〉、そして〈リチェルカーレ〉です。

  擬態は、昆虫が天敵から己の身を守る上で、きわめて有効な手段では
  あるのですが、見破られたら最後、死を受け容れざるを得なくなります。

  本作の作中人物たちも、昆虫同様、様々な“擬態”をしており、
  誰がどんな“擬態”をしているのかが重要なポイントとなります。

  そして、リチェルカーレという音楽の形式が暗示する本作全体の構図。

  探偵役である森本は、最後まで、事件という曲の中に、隠された声部が
  存在していたことを見抜けず、ただ読者だけが、“五声”のリチェルカーレ
  として事件を認識できるという構成には唸らされました。

■「シンリガクの実験」

  人心掌握と情報操作の術に長け、大人をも手玉に取っていた小学生
  の“僕”。ある日、東京から、優等生の美少女が転校してきて……。

  黒幕を気取り、〈シンリガクの実験〉をしているこましゃくれた
  “僕”が、逆に心を動かされてしまうという結末が面白いです。

  

  
このレビューは参考になりましたか?
By suihou トップ50レビュアー
形式:文庫|Amazonが確認した購入
いじめられ歴が長かった少年が転校先で殺人を。
家裁調査官の聴取に対しても、謎のような答えを返すだけです。物語は前の学校での執拗ないじめと、今度の学校での見せかけの適応を交互に語り、そこに少年の好きな昆虫の変体や擬態の話題を織り込み、別の少年との会話の中から、適者生存やレトロ遺伝子といった、壮大な生物の進化の歴史のパースペクティブを重ねてゆきます。

 だれがいつ殺人者になるかわからないのだ、というのが、ミステリとしての本作の主張でしょうか。
 人間社会の表面的な善悪や仕返しという観念では片づけられない、人間というものの深部を「擬態」という角度から照らしだしてくれています。

 被害者であった少年が、別の環境ではそれゆえに、ボスに追随し、擬態してゆこうとする。それを本人が痛々しいまでに自覚している繊細さに説得力があります。
 そして彼が築いてきた世界観、これだけ苦しめられた世界観が一瞬亀裂を見せた瞬間に、突発的な行動がほとばしる・・・

 これはむしろ純文学なのではないかと思います。

 合わせておさめられている「シンリガクの実験」も、人々の顔色を読むことにたけ、心理の機微を見通した、まるで少年時代の三島由紀夫のような主人公が、クラス仲間や教師を操作して君臨してゆくのですが、そこに転校してきた少女が波紋を投げこみ・・・ラストもまるで三島由紀夫の短編のようです。
 こちらの読後感の明るさが、タイトル作品の重たさを救っています。

 しかし明るい暗い、というのを超えたずっしりした充実感があるものを純文学というなら、この本はまさに、多声音楽の「五声」めが何かの問いを含めて、それだと思います。音楽に関する深い洞察もありますし、この作者の教養は生半可ではないのですが、それが「もったい」や「意味ありげな投げ出し」「思わせぶり」とは無縁の切れのよさを発揮し、きちんとけりをつけているところに、今回も深く感心しました。
 
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1 人中、0人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 志村真幸 トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
形式:文庫
 長編「五声のリチェルカーレ」と短編「シンリガクの実験」が収められている。文庫オリジナル。
 2本とも少年犯罪をテーマとしている。まあ、あまり読んでいて気持ちの良いストーリーではない。また、どちらも読後にすっきりしない感じが残る。
 「五声のリチェルカーレ」というタイトルはバッハの曲名のもじり。
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