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一見客観的な文体でつづられたこの「まえがき」は、ある意味で「神話」である。生後1ヵ月の子に確実な記憶などあるはずはないし、周囲にも何らかの単純化の配慮があったことが、容易にわかるからだ。
しかし、周囲の事情は問題ではない。大事なのは、「神話」によって培われた著者の強い自己肯定感覚の力である。「靴の代わりに車椅子に乗る」と言い、障害を個性としてとらえてやまない著者の芯の強さは、この自己肯定感覚なしには考えられないからだ。
本書につづられた著者のアイデンティティー獲得を巡る格闘は、明るく感動的で説得力に満ちている。障害は個性だという主張にも、多くの読者に受け入れられる普遍性があると思う(若者は、誰でも障害者と自己認識しているという言い方だって可能なのだから)。
しかし、と考える。「かわいい」と言ってくれない両親がいなかったらどうなるのか。世の中には、むしろそんな人の方が多いのではないのかと。この問題の解決は、むろん著者の課題ではないにしても。(今野哲男)
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55 人中、54人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
障害は個性だ,
By 猫のゆりかご "ice9" (千葉県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 五体不満足 (単行本)
僕は、某局の24時間テレビなどが大嫌いだし、この本が出た当時も「障害をネタにみんなに感謝を振りまいて感動させようって本だろ、キタネエな!」くらいにしか思ってませんでしたが、数年後、オトタケブームが落ち着いた頃にこっそり読んでみて、とても感動してしまいました。乙武さんは、障害に負けない強い心を持って生まれ、優しい両親、よきクラスメイトに出会えたという意味で、とても幸福な人だと思います。もちろん、障害はあるよりは無いほうが良さそうですし、今ある能力を失うとしたら、とても悲しいことです。しかし、もし障害がなければ、乙武さんは今のように強い人間になっていたのだろうか、クラスメイトや両親は優しくなれていただろうかと考えみた時、障害なしには生まれなかった良い人間関係というものが存在していたような気がするのです。つまり、障害が無ければ良かったかどうかは誰にもわからないし、今の乙武さんは障害なしにはありえなかったことは確実なのです。そういう意味で、やはり障害は個性と言えるでしょう。 障害は個性という言葉に反感を持つのは、「障害を賛美するのは偽善だ」という認識によるものだと思います。でも、乙武さんが言いたいのはそうじゃない。障害が無いよりもあったほうがいいと言いたいわけではなく、自分の個性が成立する上で障害は欠かせないものであったと言いたいのだと思います。単純に障害を賛美するのは馬鹿らしいですが、単純に障害を否定するのは障害とともに生きている人を見下しているということも忘れるべきではないと思います。 さて、この本はいい話のようでそうでもない本です。乙武さんは、僕から見ればちょっと引くくらいにポジティブだし、驚くほどアクティブだし、負けん気が強いです。障害を乗り越えた人としての感動的な話の中に、乙武さんというひとりの人間の個性がギュッっと詰まっています。「障害者の本」ではなく「障害を持った乙武さんの本」です。それが、この本をいっそう魅力的にしているのかもしれません。 障害者がみんな同じような人間なわけがないのです。それぞれが強い個性を持ったひとりの人間なのだ、ということを理解させてくれた本でした。そして僕はひとりの人間としての乙武さんが好きになりました。
8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
読み易い。,
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レビュー対象商品: 五体不満足 (単行本)
この本は一介の障害者の自伝である。内容は朗らかで明るい。非常に簡明な文体で書かれており、子供でも読み易い。 作者と初めて対面したときの母の言葉、成長期に骨を削り取る手術をして長期入院した話など、興味深いエピソードが満載である。 なお、作者本人は「障害は個性である」と言い切っているし、 「小学校時代、クラスメートらは作者と過ごす時間が多くなるにつれて作者を障害者視しなくなった」 というようなことを書いていたが、果たして本当にそうだったのか。 作者がそう思っていただけなのではなかろうか、と疑りたくなった。 然し、それは確かめようのないことだ。 確かめようのないことを良いほうに解釈しているのは、作者の心の強さなのかもしれない。
26 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
前向きに生きる効用,
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レビュー対象商品: 五体不満足 (単行本)
間違いなくハンデはある。本人いわく、ハンデをハンデと思ったことがない。だからこそ明るく前向きに生きることが出来ているのだと思う。ポイントは、何でハンデをハンデと思わずに居れるかである。やせ我慢だろうか?それにしてはいい笑顔をしている。我慢している人には出来ない笑顔だ。どちらかというと心底、人生を楽しんでいる顔だ。 障害者であろうとなかろうと、「与えられた場の中で最善を尽くす」という事を皮膚感覚として学んできており、それがほとんどの場合において、いい結果に終わってきているからだと思う。 子供にどんな環境を与えるか、という視点でも役に立つ一冊ではないだろうか。
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