本書の特徴としては2点挙げられる。第1にデイトレードに特化していることである。本書は「デイトレードと一般的な株式投資との違い」から出発する。デイトレードは「買った株をその日のうちに売る」トレードである。そのため、企業の業績や成長性などは判断要素にならない。つまり、一般的な株式投資とは別な視点で銘柄を選択する必要があり、そこを混同すると最初から失敗してしまう(12頁)。
この点において、本書のスタンスは同じ著者の『【最新版】サラリーマンが株で稼ぐ一番いい方法』(三笠書房、2007年)とは異なる。こちらは日中、会社勤めをしている従業員向けであるためにデイトレードは対象外で、数日のスパンで売買するスイングトレードを解説する。
第2に初心者向けであることである。板(注文数が表示されるボード)やローソク足チャートを丁寧に説明するなど文字通り初心者に向けて執筆されている。さらにオンライン証券(松井証券とSBI証券)の操作手順まで掲載している。
株で稼ぐとなると不労所得との印象を受けるが、本書で紹介されたデイトレードは中々大変である。日本の証券市場は9時に取引が開始されるが、遅くとも8時前には起きてNYダウなどの海外市場の結果を調査すべきという(116頁)。
取引中は板やチャート、ランキングなど様々なものを確認する。画面をいちいち切り替える手間を省くために、複数台のモニターを設置し、別々のモニターに表示させることを推奨するほどである(30頁)。大引け後も損益の計算やトレードの振り返り、相場の流れの調査など行うべきことは多い(158頁)。デイトレードは決して楽な作業ではなく、怠け者では無理である。初心者向けであるが、株式取引の奥深さがわかる一冊である。