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二重人格 (岩波文庫)
 
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二重人格 (岩波文庫) [文庫]

ドストエフスキー , 小沼 文彦
5つ星のうち 3.6  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

主人公は小心で引っこみ思案の典型的小役人。家柄も才能もないが、栄達を望む野心だけは人一倍強い。そんな内心の相克がこうじたあまり、ついにもう1人の自分という幻覚が現れた!精神の平衡を失い発狂してゆく主人公の姿を通して、管理社会の重圧におしひしがれる都市人間の心理の内奥をえぐった巨匠(1821‐81)の第2作。

登録情報

  • 文庫: 326ページ
  • 出版社: 岩波書店; 改版 (1981/8/16)
  • ISBN-10: 4003261321
  • ISBN-13: 978-4003261323
  • 発売日: 1981/8/16
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.6  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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小心者で卑屈で家柄も才能もない下級官吏ゴリャートキン。その彼の前に、ゴリャートキンとは正反対の、人生の成功者である、だが同じゴリャートキンが現れた! ゴリャートキンは、自らの願望が産みだした幻影に喰らいつくされ、狂気へと向かっていく・・・。

「二重人格」というタイトルのため、「ジキル博士とハイド氏」のように、一人の人物がまったく違った二つの性格を持つ物語なのかと誤解してしまいますが、原題は「ドッペルゲンガー」なので、そのままのタイトルにするか、訳すのであれば「幻影」や「幻覚」といったタイトルのほうが内容に近かったように思われます。ゴリャートキンの別人格、ではなく、彼が造りだしてしまった幻影として読まないと本意がつかめません。

ゴリャートキン氏が自己イメージと現実のギャップに苦悩するあまり、自分がありたいと願う自己イメージの投影が、意識をもって勝手に動き出してしまったというところでしょう。ゴリャートカというのは、ロシア語で「はだか」という意味だそうですが、自分の弱さが剥きだしのゴリャートキン氏と、きっちり社会性という仮面を付けたその他の登場人物の対比は鮮やかです。とくに救いのようなものを設定せず、ただ読者を突き放すやり方は、読者に自分自身を省みるきっかけを与えているのではないでしょうか。

実り多い作家生活を送ったドストエフスキーの第二作ですが、すでにその卓越した人間観察眼は如何なく発揮されています。ドストエフスキー自身はこの作品に大変な愛着を感じていたそうですが、残念ながら他の壮大な作品群に比べると、どこか奥行きに欠ける作品のように感じました。

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21 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By カスタマー
誰の心にも、私の心の中でさえも過剰になりがちな自意識。
人にどう思われているか、どう思われたいかを気にしすぎるあまり、もう一人の人格を生み出してしまった主人公の心理は、平凡な私達でも見に覚えがないわけではない。

他人と自分を意識しすぎたあまりに閉鎖的になってしまえば、人の態度がどんどん捻じ曲げられたものになって行く気さえする。作り出してしまったもう一人の人格が、更に主人公を苦しめるさまは、自意識過剰な人間の行き着く道のような気がして、心のどこかで恐怖を感じてしまう。心理的な作品です!

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2 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
『二重人格』は、ゴリャートキンという下級役人の精神的破滅に至るまでの生活が描かれる。
岩波文庫の解説者も指摘しているが、ドストエフスキーの作品の特色は現実と非現実の交錯だ。どの描写が現実あるいは非現実か分からないシーンが頻見される。
『二重人格』はゴリャートキンの混濁した視点をよく出している。新ゴリャートキンなる人物が突然登場する。彼は実在しているのか、それともゴリャートキンの妄想なのかよく分からない。(私は、実在していると思って読んだし、読後の今もそう思っている。)主人公ゴリャートキンの前に何度も仇敵として現れる。
都会に住む人の人格は、往々にして、ドッペルゲンガーとして現れる新ゴリャートキンと、劣等感にさいなまれながら栄達を妄想する当のゴリャートキンとが混在しているものなのだろうかと思うことがある。善良・素朴でこじんまりした自分に誇りを抱きつつ、うまく立ち回れると信じ、自分を落としいれようとする敵がいると警戒する。
『二重人格』は、妄想じみた現実、現実じみた妄想が混在しあっている描写をする。それによって『二重人格』は、リアリティと妄想の境界線をラディカルに曖昧化する。むしろ無化すると言っていいかもしれない。
リアリティと妄想は、『二重人格』において、お互いにエネルギー資源を供給し合うシステムとなり、最後までゴリャートキンの不思議な世界が展開されていく。
都会的人格の持ち主は『二重人格』を読むと、何かをつきつけられた気分になるのではないだろうか。
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