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二式大艇空戦記―海軍八〇一空搭乗員の死闘 (光人社NF文庫)
 
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二式大艇空戦記―海軍八〇一空搭乗員の死闘 (光人社NF文庫) [文庫]

長峯 五郎
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

昭和二十年三月、特攻「銀河」二十四機の誘導機として二式飛行艇を駆り、二千六百キロ彼方の南洋に出撃、奇蹟の生還をとげた神風特別攻撃隊員が綴る話題作。大戦末、哨戒、索敵、触接、遠距離輸送と苦渋に満ちた激務の中で、ペア同士の絆で結ばれつつ任務遂行の果てに散った若き搭乗員たちの素顔を赤裸々に描く。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

長峯 五郎
大正12年7月、横浜市に生まれる。昭和14年、海軍飛行予科練習生、17年卒業(乙飛12期生)、横須賀海軍航空隊、第851海軍航空隊、第801海軍航空隊、20年3月、神風特別攻撃隊梓隊ウルシー攻撃に参加。終戦時、詫間海軍航空隊、海軍飛行兵曹長。戦後、長峯水産株式会社会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 365ページ
  • 出版社: 光人社; 新装版 (2006/12)
  • ISBN-10: 4769822154
  • ISBN-13: 978-4769822158
  • 発売日: 2006/12
  • 商品の寸法: 15 x 10.4 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By リオ トップ1000レビュアー
著者は、二式大艇のパイロットとしてして戦争を戦った元下士官。

自らの体験をありのままに、書き起こした体験談です。新兵のシゴキ、特攻、飢餓の島でのサバイバルから終戦までの、戦争の実態を実によく表しています。武勇伝でもなく、反戦でもなく、仲間たちへの鎮魂のための戦記です。

神風特攻兵が、突撃前に機上で見せた笑顔のシーンは、レビューを書きながらも涙があふれて来ます。特攻賛美ではなく、特攻を命ずる側を非難していますが、特攻を命じられ苦しみながら命令に従って死んでいった側への深い慈愛を感じます。事実を語っているだけですが、死んでいった特攻隊員への鎮魂の意図が自然につたわってきます。

二式大艇の実像についても非常に興味深い記述満載です。傑作飛行艇と言われた二式大艇の離着水の困難さ、特に料満載での超過重量時の離水の難しさ、二式飛行艇に搭載されていた電探(レーダー)の実力、GPSもジャイロもなしでの航法の実態、数十メートルの誤差が出る高度計の飛行中の補正方法、夜間着水の実像とその危険、敵味方識別の発光信号の信頼度、燃料の配置調整による被弾対策など飛行艇のスペックではわからない操縦者ならでは記述も満載です。

奇蹟の飛行艇―大空に生きた勇者の記録 (光人社NF文庫)は97式飛行艇の元パイロットの戦記です。鎮魂の戦記という意味でも、飛行艇の実像をパイロットが記録した戦記としても似ています。二式と九十七式飛行艇の比較の意味でも面白いと思います。
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
 昭和20年3月21日に神風特別攻撃隊菊水部隊梓隊として任務を遂行し、
奇跡の生還を遂げた人物の物語である。特攻として有名な零戦の話は多いが、
梓隊の主力である攻撃機“銀河”のために天偵、誘導するために錦飛行艇が選ばれ、
携わった人たちの真の物語である。

特攻を支える側、送る側の内面を見ることができ、日本を守ってきた人達の
生き様に触れる一冊であると思う。
このレビューは参考になりましたか?
テーマは特攻 2012/4/16
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本書は、二式飛行艇の搭乗員の手記で、飛行艇の操縦についてのコメントも多い。
専門用語がたくさん出てくる。特に解説されていないが、雰囲気は伝わってくる。
戦闘機とは異なる、大型機ならではの機内のやりとりや飛行ぶりが描かれている。

大荒れの海上をゲーゲー吐きながら夜間飛行する場面は、本書前半の大きなハイライト。
短い記述ながら、海の描写が、実際に見た人でないと描けない圧巻である。
洋上を航行する敵艦隊を、味方と誤って近づき、猛烈な対空射撃を食らいつつも、人員機材とも無事に切り抜けるシーンも、手に汗握る。
ただ、これらの危機的状況は、天気予報を甘く見たり、確認を怠ったりと、いずれも著者の判断ミスが招いたものとして書かれている。
その極め付けが、夜間の着水失敗の遭難事故で、日本沿岸だったので搭乗員は救助されたが、飛行艇は海没した。

飛行艇には、機長の士官が乗っていたが、本書を読むかぎり、実質的な指揮官は、操縦員であった著者(下士官)だったようだ。

本書で、自己の驕りや失敗が率直に書かれている。
若干二十歳前後で横空に勤務した著者は、自他共に認める操縦技量の持主であり、若さゆえの自信過剰もあったかもしれない。
当時の戦場で、限定された情報をもとに即座に判断を迫られる状況では、仕方がなかったのではないかと思う。
ただ、著者のすぐれた点は、単なる偶然などとして流すことなく、失敗のたびに自己を見つめなおしていたことだ。
それが戦争を生き抜く結果につながった。

戦地において、殺意をむきだしにして迫ってくる敵と渡り合って生き残るには、並外れた向ッ気が必要らしい。
零戦虎徹の岩本、サムライ坂井氏は、徹底した反骨精神の持主として知られている。
著者も相当なもので、一心太助のような上官反抗エピソードも紹介されている。
淡い恋もあったようである。

本書の主題は、梓特攻隊である著者の隊員としての思いである。
梓隊の銀河爆撃機が、1機の二式飛行艇の誘導でウルシー泊地を攻撃したというのは、戦闘経過も含め、他の資料でも確認できる事実である。
著者は、その誘導機に乗り、艱難を乗り越え生還を果たした。

本書で強調されているのは、特攻を命令する側の心理と、命令を受けて飛ぶ心理には、大きなへだたりがあるということである。
他人の目からは、特攻隊員は国を守るために自己犠牲を払ったから崇高だ、という美談になる。
著者は「生きたい」という欲求に、出撃前夜まで眠れずに苦しみぬいていた。
「国を守る」とか「愛する人を守る」とか、耳当たりの良いお題目では到底解消され得ない、生物としての根源的葛藤である。

本書には書いていないが、特攻を繰り返しているにもかかわらず戦局が悪化する一方であったことも、隊員のモチベーションを下げたのではないかと思った。
岩本徹三ではないが、そこまでして戦争を続ける意味があるか、という実務的観点である。

通常攻撃でも生還が期待できない当時、特攻と心理的に何が違うのか、とも思ってしまうが、
搭乗員にとって、必死と決死の違いが、1文字の違いではすまされぬものがあったようだ。
この葛藤は、命令する側(戦後の我々も含めて)には到底共有し得ないものであろう。
しいていうならば、がんの余命宣告を受けた心境なのだろうか。これすら私には想像がつかない。

特攻のような空前絶後の壮挙については、いろいろな思いや受け止め方があるだろうし、あえて議論を一にする必要性もないと思う。
ただ、多くの現代日本人にとって想像の世界でしかない特攻隊員の心情を、本書を読むことで窺い知ることができるだろう。

著者が下宿先で夕食を囲んでいる時に、彼が近いうち特攻出撃することがわかり、家人の子どもが、ショックを受けて泣き出す。
その場は豪快に笑い飛ばした著者も、基地に戻る道すがら、あふれる涙をとめることができなかった。
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