記述は、実感に満ちたきわめて「橋本的」なもの。編年体の構成をとって語られた歴史事象の膨大さや、著者の歴史知識の幅広さにまず驚かされるが、読むうちに強く印象に残るのは、「客観性」という制度化したバイアスをくぐった「史実」に飽き足らず、そこに自分の体験を対峙させていく著者の執拗な手つきである。体温の残る場所から「歴史」を丸ごと語り直そうとする、このある意味で無謀な試みにこそ、本書の真骨頂があるのだと感じる。
「橋本式紀伝体」といってもいいようなこの方法は、50年代以降の記述に至って特に輝きを増す。たとえばプロレスや東京オリンピックを見たときというような、著者の個別の述懐をたどるうちに、個人の記憶が生々しく舞い戻り、それがやがて同時代体験という共同性に浄化するのである。
この体験は、著者とのオピニオンの共有を強制などしない。ただ、自分もまた時代の当事者であるという基本的な認識に我々を導くだけである。「強制」ではなく「共生」を喚起してよしとするこのすぐれて個人的な精神こそ、20世紀が看過して顧みなかったものなのではないだろうか。(今野哲男)
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「ああ、そうか、歴史で習ったこの事はこういう意味だったのか」という感想です
20世紀の100年がどのように流れていったのかがわかります。冒頭の「総論・20世紀はなんだったのか」も素晴らしい。
この本は何日かに分けて読まず、まとまった時間を作って1日で一気に読んだ方がいいと思います
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