「夢みるように眠りたい」の浪漫的かつ抒情的な映像にとても感動したので、この映画も共通する世界観を持っているのかな、と期待して観てみました。(出演者も、「夢みるように・・」とかぶっていますし)確かに、前半のサーカスのシーンはノスタルジックで何とも言えない良さがあります。どうやって、20年ほど前にこんな、昭和中期のサーカスとしか思えないような映像を作り出したのか、改めて監督の手腕に感服しました。ですが、途中で主人公の一人がサーカスを飛び出していかさま商売をするようになり、しまいに極道者の香具師になってしまうと、親分やら刺青やらショバ代やら、何だかやたらに泥臭くなって、浪漫も抒情もへったくれもないという流れになり、観ていてげんなりしました。仁侠ものがお好きな方なら、それでも愉しめるかもしれませんが・・私はかなり引きました・・。「夢みるように・・」で可憐な桔梗姫を演じていた佳村萌も、親分に金で買ってこられた愛人というような役どころで、唐突に着物をはだけて主人公を誘惑(?違ったらすみません。私の眼にはそうとしか見えなかったので・・)してみたり・・(汗)同じ監督だから同じ作風の映画、と期待するのが間違いだったのかもしれませんし、同じような映画ばかり製作しても進歩が無いというのも確かに一理あるでしょうが・・「夢みるように眠りたい」が徹頭徹尾、美しい夢で構成されていたのに対し、こちらは現実の汚さや人生の苦しさみたいな色合いが、かなり濃い気がします。同じ役者が出演し、同じような時代背景、そして画面も同じモノクロなので、私のように誤解される方がいらっしゃるかもしれませんが、要素はほぼ別物と思われたほうが良いかと思います。少なくとも、「夢みるように」うっとりしたい方にはおすすめできる映画ではありません。