著者が明らかに誤解している部分があると思います。
P.32-33でハロルド・C・ショーンバーグ氏がラフマニノフのことを
『「チャイコフスキーの足元でロシアの涙を流すだけの、創造面では無に等しい存在」と斬り捨てる』との記述がありますが、
引用元であるショーンバーグ氏の著書 The Lives of the Great Composers を読めば、斬り捨てていると批評しているのは
書かれた当時のプロ音楽家のことであること、ショーンバーグ氏のラフマニノフ作品に対するスタンスは決して否定的では
なかったことが明らかであると思います。
後段でラフマニノフの多くの作品が演奏され続けていることにふれ、「自らの存在を立証するのに、作曲家はこれ以上どんな
ことをしなければならないと言うのだろうか?」とまで述べているのですから。
ショーンバーグ氏を「酷評する批評家」の代表例として挙げるのは、氏に対する冒涜だと思います。
原著の一部をまったく違うニュアンスで引用するのはいかがなものでしょう。