怪盗ルパンより9年早く発表された‘泥棒紳士’の先駆者ラッフルズと相棒バニーの活躍をまとめた記念すべき第一短編集。日本での知名度は低いですが英国での人気は高く、あのホームズ探偵談に7年遅れて雑誌連載されました。ホームズ物語にワトソン医師・レストレイド警部という名脇役がいるように、ラッフルズには友人で相棒のバニー・敵役マッケンジー警部がいます。ホームズの成功にあやかろうと書かれた所為で随所に影響が見られますが、推理よりはサスペンスと男同士の友情物語としての味わいがシリーズの読ませ所でしょう。
賭博にはまって莫大な借金を負ったバニーにラッフルズが泥棒という方法で助けを施す。スリルと冒険を求めるラッフルズに対し良心の呵責に駆られるバニーだったが、次第に泥棒だが何処か憎めないラッフルズの人間的魅力に引き摺られてチームを組む決心をします。本作のラストで船旅で盗みを敢行したラッフルズは、宿敵マッケンジー警部に追い詰められて、バニーを置いて船上から身を投げて逃亡します。
論創海外ミステリのシリーズは、推理小説として完全な出来では無くても、別の意味で魅力的な過去の作品群を紹介してくれて、古典の再評価の兆しに繋がる、とても良い時代が来たなと思わせてくれます。