「前世」「生まれ変わり」「霊界」等、オカルト的な記述には少なからず不信感をいだいてきたので、購入するまでかなり迷ったのだが(怖い話が苦手なのもある)、一読して、巷にあふれるアヤシゲな本とは全く異質なものである事がわかった。徒(いたずら)に自我を増長させるような、安易な「自分探し」の類いの本とも一線を画する。
高潔、理知的な著者によって書かれた真摯なメッセージ。
神、善、悪、そして愛、等々の普遍的な問題の理解に、わかりやすい言葉で、これほど明晰な道筋を示してくれる書物はそう多くない。
文学(芸術としての)、精神医学、宗教、哲学を統合したような内容であり、またこのような手法でなければ伝えられない希有な内容。
何故、この世界はこれほどまでにも不当なのか?(〜最もよき人々は帰ってこなかった〜フランクル『夜と霧』より)という常々感じるやるせなさの靄に、一条の光明を与えられた。
特筆すべきは、才気ある良心的な訳者に恵まれたことで、本文はもとより、訳者による<ガーダムと悪の心理学ーー訳者あとがきにかえて>及び<アメリカ・テロ事件を受けての追記>も非常に質の高い文である。
同じ訳者によるコスモスライブラリー出版「仏教のまなざしーー仏教から見た生死の問題」も併せて強くおすすめしたい。