「心と心の実質婚」という帯のコピーに惹かれて購入。
渡辺淳一といえば、近年はすっかりエロス&男の身勝手な願望爆発の恋愛小説ばかり書いているというイメージだったけれど、いやあ実に真面目な本なものだからビックリ。あえて入籍という形をとらない、でも単なる同棲よりは確かな「事実婚という新しい愛の形」について、体験者のケーススタディや弁護士との対談、さまざまな年代の未婚女性たちとの座談会、スウェーデンやフランスにおける事実婚制度の紹介……などなど、多面的に掘り下げているのだ。
事実婚は、まだ日本では法的に認められていないためデメリットも多い。だからこそ、事実婚をスタートする前に、さまざまなことを(日常の家事や生活費の分担から、生まれてくる子供の姓をどうするか、愛情が冷めて別れるときの財産分与まで)二人で話し合い、了解し合って、それをできれば弁護士を介在させて文書化しておくといい、と著者は勧めている。これって事実婚に限らず、一般的な結婚においても大事なことかもしれない。文書化どころか、話し合いもせずに流れで結婚しちゃうケースがほとんどで、一緒になってから「こんなはずじゃなかった」と思うこと多いんじゃないかな。結婚前に、二人でとことん話し合うことで、お互いの違いが見えてくる。自分という人間が本当は何を望んでいるかもわかってくるような気がする。
著者は、「別に自分は事実婚を勧めているわけじゃない。こういう選択肢もあることを知ってほしいだけ。いろんな選択肢があるのを知って、読者一人一人がそれぞ自分に合ったスタイルを選べばいい」と言う。私だったらどうするだろう……と考えて、自分がけっこう世間の目や常識にとらわれているということに気づかされた。そういう意味では、なかなか奥深い一冊かも。