出版社/著者からの内容紹介
そこで,なぜ情報モラル教育が必要とされるのか,情報モラル教育とはどのようなもので,どのように取り組めばよいのか,そして情報モラル教材『事例で学ぶNetモラル(Web版)』を開発したきっかけなどをまとめました。
内容(「BOOK」データベースより)
内容(「MARC」データベースより)
著者からのコメント
本書の目的は,これに尽きます。
教員が思っている以上に,子どもたちはメディアに浸った生活をしています。テレビのバラエティー番組,ゲーム機の氾濫,インターネット上の掲示板,ケータイによる友だちとの情報交換……これらはもはや日常茶飯事です。
思えば大人の私たちも,朝起きたらテレビのスイッチを入れ,旅行に行く前にはインターネットで調べ,時には友人と長電話をします。仕事上でもプライベートでも,メールチェックは不可欠。私たちもまたメディアに浸った毎日を過ごしているのです。
しかし,私たち大人のメディア接触と,子どもたちのメディア接触とは,違う部分があります。
ある怪しげな情報があったとき,私たち大人がそれを疑って見ることができるのは,日々の生活で獲得したさまざまな常識が備わっているからです。それらの常識は,これまで長い時間をかけて獲得してきたものであり,親から子へ受け継がれ,学校で教えられてきました。
もちろん現代の子どもたちも,親や学校から常識を学びます。しかし,常識を学んでいる途上にも関わらず,すでにたくさんのメディアに接触してしまっています。子どもたちは,それらのメディアで起こっている現実を見て,それを常識だと学習してしまう可能性があります。特にネット上では,大人から見てもふさわしくない非社会的・反社会的な行為がたくさん見られますが,子どもたちはこれを常識だと勘違いしていく可能性があるのです。
だからこそ,今,ネットモラル教育が必要です。ネットモラルは,本来的には,子どもたちがメディア体験を重ねるうちに,次第に学び取っていけばいいと私は思っています。しかし,上記のような現実が横たわっている以上,子どもたちの気づきを待っているようでは教育が手遅れになってしまいます。
すべての子どもたちに,最低限のネットモラルに関する知識や考え方を教えておくことは,彼らを健全な社会人として育て,情報社会を望ましく形成していくために,学校教育が手を出すべき重要な教育行為です。学校教育がこれを放棄したら,子どもたちは危険な世の中を形成してしまう張本人になってしまうのです。
すべての教室でネットモラル教育の実現を。そのために必要な質の高い教材を。多くの教師が取り組めるための敷居の低い事例を。本書は,これを実現した,日本で最初の書籍だと自負しています。
著者について
1964年生まれ。東京学芸大学卒,電気通信大学大学院修了。東京都公立小学校教諭、富山大学教育学部助教授,東京大学社会情報研究所客員助教授,静岡大学情報学部助教授等を経て,2005年10月より独立行政法人メディア教育開発センター・助教授。研究領域は教育工学・情報教育。文部科学省中央教育審議会専門部会委員、「初等中等教育におけるITの活用の推進に関する検討会議」など教育の情報化に関する政策編成の委員を歴任。NHK学校放送情報教育関連番組企画委員。著書に『学校のLAN学事始』(高陵社書店),『メディアが身近に感じる情報教育の実践』(明治図書),『メディアとのつきあい方学習』(ジャストシステム),『できる教師のデジタル仕事術』(時事通信社)など。
主査 堀田 龍也 (独立行政法人メディア教育開発センター・助教授)
石井 聡 (岡山県岡山市立五城小学校・教諭)
石鎚 一則 (愛知県刈谷市立朝日中学校・教諭)
石原 一彦 (滋賀県大津市立藤尾小学校・教諭)
上杉 圭子 (静岡県富士市立元吉原小学校・教諭)
上野 真 (大分県速見郡日出町立日出小学校・教諭)
衛藤 暢一 (大分県速見郡日出町立日出小学校・教諭)
表 克昌 (富山県氷見市立海峰小学校・教諭)
笠置 隆宜 (大分県速見郡山香町立向野小学校・教諭)
梶本 佳照 (兵庫県三木市立教育センター・副所長)
片山 淳一 (岡山県赤磐市立山陽北小学校・教諭)
金井 義明 (熊本県熊本市立西原小学校・教諭)
上水流信秀 (財団法人岐阜県教育文化財団生涯学習センター・課長補佐)
蒲生 信博 (岡山県倉敷市立郷内中学校・教諭)
木口 修 (岡山県総社市立秦小学校・教諭)
佐々木弘記 (岡山県教育工学研究協議会)編集協力
笹原 克彦 (富山県富山市立寒江小学校・教諭)
竹谷 正明 (東京都狛江市立狛江第一小学校・教諭)
土井 国春 (徳島県板野郡松茂町長原小学校・教諭)
野間 俊彦 (東京都北区立赤羽台西小学校・主幹)
原田 緑 (岡山県岡山市立操明小学校・教諭)
平川 秀徳 (大分県日田市立大野小学校・教諭)
平松 茂 (岡山学校情報化研究会)編集協力
正來 洋 (石川県金沢市立額小学校・教諭)
増田 正治 (岡山県岡山市立灘崎小学校・教諭)
松橋 尚子 (東京都世田谷区立砧小学校・主幹)
丸山 力 (岡山県岡山市立五城小学校・教諭)
向井 康之 (富山県高岡市立福岡小学校・教諭)
明樂 五月 (岡山県瀬戸内市立邑久小学校・教諭)
森山 隆行 (岡山県倉敷市立連島中学校・教諭)
山脇 隆史 (鳥取県倉吉市立灘手小学校・教諭)
吉野 和美 (静岡県富士市立元吉原小学校・教諭)
特別協力 曽川 巧 ( 広島県教科用図書販売株式会社・「事例で学ぶNetモラル(Web版)」制作統括)
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
1964年生まれ。東京学芸大学卒、電気通信大学大学院修了。東京都公立小学校教諭、富山大学教育学部助教授、東京大学社会情報研究所客員助教授、静岡大学情報学部助教授等を経て、2005年10月より独立行政法人メディア教育開発センター・助教授。研究領域は教育工学・情報教育・文部科学省中央教育審議会専門部会委員、「初等中等教育におけるITの活用の推進に関する検討会議」など教育の情報化に関する政策編成の委員を歴任。NHK学校放送情報教育関連番組企画委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
抜粋
『事例で学ぶNetモラル』今,なぜネットモラル教育か
急速にネットワーク化が進む現代では,大人ばかりでなく子どもたちも否応なく情報社会に組み込まれていきます。情報社会はまだまだ成熟した社会とはいえず,だからこそそこでどう行動するかが問われてきます。とはいえ,情報モラル教育といってもどのように指導すればよいのか,多くの教師は見当もつかないというのが実態です。
そこで,なぜ情報モラル教育が必要とされるのか,情報モラル教育とはどのようなもので,どのように取り組めばよいのか,そして情報モラル教材『事例で学ぶNetモラル(Web版)』を開発したきっかけなどを,堀田龍也先生にうかがってみました。
I ネットモラル教育とは何か
Q 「ネットモラル教育」とはなんですか?
「情報モラル」の教育が必要だということは,いまやだれもが同意してくれることだと思います。
社会の情報化がどんどん進み,子どもたちはその中で生きていくことになります。情報化の光の部分を自分の生活の中で上手に活用する一方で,情報社会に潜むさまざまな影に気をつけなければいけないという意味で,情報モラル教育の必要性が認識されています。文部科学省の現在の情報教育の枠組みの中にも,「情報社会に参画する態度」として情報モラル教育が位置づいています。これからの社会の形成者である子どもたちが,情報に対する責任感や危険性を認識し,それを上手に利用して望ましい情報社会をつくりあげていく態度を育成しなければいけないという考え方です。したがって,情報モラル教育は,もう実際に動いています。
「ネットモラル」とは,情報モラルのうち,インターネットや携帯電話などネットワークを介してのコミュニケーションの上で必要となるモラルについて取り立てて扱うものです。すでに子どもたちはインターネットや携帯電話に囲まれた生活をしていますし,ネット経由のトラブルが頻繁に起こっています。広く情報モラルといわれていることのうち,ネットに関する部分を取り立てて強調しておきたいと考えたのです。