本書は、第1部の基礎理論編と第2部の実践編とに分かれている。第1部では、企業責任・コンプライアンスから内部統制システムまでがやさしく解説され、架空のケーススタディもあるが、可もなく不可もなくといった内容である。第1部を読み終えた時点で面白みがない本と感じたところ、第2部に入ると、いい意味で予想を裏切ってくれた。
第2部では、ライブドアの粉飾決算など実際の不正事件が10事例、収録されている。10事例の中には、愛知県を主体に解説した地方行政での不正経理があるほか、都立広尾病院の医療事故と死亡診断書の虚偽記載など、企業以外の事例も取り扱っている。第1部のケーススタディと違い、実際の事件の概要から対応策までを説いたものであり、多様な組織も扱っているために、生きたケーススタディとして活用できる内容だ。
社会人1年生の新人に対してコンプライアンスは必須の教育項目である。大学院や大学を卒業したばかりの新人は、過去の企業の不祥事は正確に把握していないだろう。実際の企業を題材とした不正事件が事例として取り上げられているために、新人教育のためのコンプライアンス副教材として使えそうである。