私は生後1ヶ月半の赤ちゃんを持つ母親です。この本の著者が主宰するホメオパシー相談会にも2回ほど自分の体のことで行ったことがあります。(ちなみに相談会では、予防接種を過去にたくさんしているからということで、まず予防接種のレメディを処方されましたが、私の場合よく言われる好転反応はまったく見られませんでした)
予防接種について受けるか受けないかの参考に何冊か本を読んでいますが、この本もそのうちの一つです(身内からプレゼントされたため)。
この本では、一般に言われて常識となっている「予防接種を打つことで抗体を作る=免疫をつける」という図式がまやかしであり、そもそも抗体=免疫 ではないとしています。抗体とは体が速やかに処理しきれない毒物に対して便宜的につける目印のようなもので、処理・排出されれば抗体ともどもなくなるのが本当だとしています。よって、一般に病院などで行う抗体検査で免疫の有り無しを言うのも的外れだと・・・・・・。
予防接種とは、予防接種という不自然で有害なものを体に入れた結果、それに体が対応できず(急性症状を出して排出するという方法をとれず)慢性化するというメカニズムを使ったものだとしています。よって予防接種をしてからの「免疫がついている期間」というのは「病が慢性化している状況」であるとか・・・・・・。
今まで常識とされている科学的なことを否定することを言っています。
私は生物学、感染症や免疫についての知識がまったくありませんので、語られている内容についてはまったく検証できません。他の免疫学や医者の書く感染症に伝の本も見て、どこか論理的にでもつながる場所はないかと思って読み進めているところですが、まったく立ち位置が違うので判断材料にはできません。そもそも、本に書いてある免疫に関する説明などが本当か嘘かは、究極的には顕微鏡をのぞいて研究を続けているような一握りの人たちにしか分からない話でしょう。
ホメオパシーが効くか効かないか?私自身試してみたけれど2回かかった限りではまだ効果がでるか判断しにくい症状(子宮筋腫)だったこともあって、効果のほどはわかりません。
ホメオパシーの効果はともかく、本の内容について言うと、現在の常識をひっくり返すのに必要なデータ提示も足りず納得いく文章とはいえないと思います。ジェンナーやパスツールが自らの研究についてその晩年「自分は大変なことをしてしまった」と後悔したと言う内容が書かれていますが、その出典が書かれていません。自ら取材をして自筆の記録などを見たということであればその旨の記述が必要でしょう。少なくとも科学ジャーナリストが書くような説得力が必要だと思います。
この本を読んで「今までの常識が覆った」と感動するだけならよいですが、それだけで予防接種を受けるのはやめよう、と決めるのは余りにも単純すぎるでしょう。ホメオパシーのレメディ自体は強い副作用などはないと言っていますが、裏返すとレメディは「無害の代わり効果なし」かもしれないし、そこに感染症が来て重症に陥ったり死亡した場合に、自分の子どもに対してどう責任をとるのか?という問題が一番大きいと思います。選択の結果を引き受けるのは自分自身ではなくて子どもですからね・・・・・・。この本を読んだ後だと、ホメオパシーで予防する道を選ぶにしろ、予防接種を打つ道を選ぶにしろ、目をつぶってえいっと前に飛ぶ感覚になるのは否めません。
そもそも、感染症の専門家が書く本を読むと、予防接種が「自然なものでない」のは自明のことで、だからこそ一律に「予防接種、するかしないか」ではなくて、どの種類の病気のをするかしないか、で考えるべきなのですが。
ここ数年、日本脳炎やMMRなどで問題があったし、厚生労働省の不祥事が相次いで報道されているので、その影響がホメオパシーの後押しになっている気がします。
また、WHOなどからは「日本は他の先進国ではなかなかみられない麻疹(はしか)や結核がいまだに流行る国である」と見られている点を考えると、こういう本が広く読まれるのは国にとっては困るんだろうななんて複雑な気分になります。
なかなか迷わせられる本です。