この映画について感想もしくはレビューを書くのは、かなり難しい
作業だと思う。「亀虫の兄弟」「亀虫の嫁」などいくつかの「亀虫」
とタイトルに付くショートフィルムのオムニバス的シリーズの本作。
どの物語も本当にショートフィルムで、かなり短い。しかし、この
DVDを観終えたとき、表現のしようがないほどの充実感に包まれる。
と、同時に恐ろしいほどの虚無感に襲われたと思ったら、笑いが込み上げ
てくるのだ。目頭が熱くなることさえある。
とにもかくにも、あらゆる方向からつつかれるように感情を刺激される
のが本作の魅力なのではないか。
この映画にストーリーはありそうでない。でも確かに「在る」。
「物語」の不在がナレーションという形式によって登場人物に物語られ、
「映画」としての「ストーリー」が具現化する。
淡々とシャープに描かれる日々の中にクセのある俳優たちがちょっとした
スパイスのように散りばめられ、饒舌に「物語られる」。
この映画は賛否両論にハッキリ分かれる作品だと思う。でも、気に入る人
はとことん気に入り、好きになり、この『亀虫』という映画に依存して
『亀虫』中毒となってしまうと思う。
この映画を一言で表すとしたら、この言葉が一番的確だと思われる。
「最低にして最高の映画」