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乾燥標本収蔵1号室―大英自然史博物館 迷宮への招待
 
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乾燥標本収蔵1号室―大英自然史博物館 迷宮への招待 [単行本]

リチャード・フォーティ , 渡辺 政隆 , 野中 香方子
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 2,625 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容紹介

博物館の裏側では、
今日も事件が起こっている!

博物館の奥に広がる巨大迷路に潜むのは、人目に触れることのない膨大なコレクションと、その狭間で蠢く研究者たち――潜水服姿で街をさまよう古生物学者、寄生虫を宿しては仲間に提供する微生物学者、女子トイレを使い続けた蚊の研究者――浮世離れした彼らの生態は、博物学の愉しみを知るほどに愛おしくなる…?『生命40億年全史』の著者が語り尽くす、大英自然史博物館全史。

内容(「BOOK」データベースより)

博物館には、別の顔がある。展示室の裏側に縦横に広がる巨大な迷路、人目に触れることのない秘密のコレクション、繭のような小部屋で一心不乱に研究にのめり込む人々。なかでも世界最大級の大英自然史博物館には、ここでしか通用しない大原則がある。いわく、「なにものも永遠に捨ててはならない」「おしゃれをしてはならない」「粗忽者と言われるくらいがよい(研究以外では)」。古生物学の世界的権威である著者が、30年間を過ごした古巣の素顔と、そこに生息する浮世離れした住人たちの姿を、軽妙な語り口で綴った「大英自然史博物館全史」。

登録情報

  • 単行本: 496ページ
  • 出版社: NHK出版 (2011/4/22)
  • ISBN-10: 414081473X
  • ISBN-13: 978-4140814734
  • 発売日: 2011/4/22
  • 商品の寸法: 19 x 13.7 x 3 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 西山達弘 トップ500レビュアー
形式:単行本
本書の表題は、大英自然史博物館の中でも最も奥まったところにある雑多な乾燥標本が収められた場所のことである。
読み進むに従って、その意味が明らかになっていく。

内容はその副題の通り、迷宮ともいうべき博物館の研究者たちの紹介であり、実に楽しい。

著者は、専門が三葉虫の研究者であるが、なかなかどうして他の分野への造詣も相当に詳しい。
著者の専門である化石のみならず、魚類、寄生虫、線虫、植物、珪藻、昆虫、石(宝石類も)などなどあらゆる分野が紹介される。中でも、鉱物については毎月20〜30種が新種として承認されているというから驚きである。また、呪われた宝石の話を読みと、カラーページの写真を見るのも怖くなってくるという仕掛けもあったりする。

さらに、人物観察力が秀でている。個性のある研究者たちを実に多彩に面白おかしく描いている。

たとえば、昆虫の研究者には個性的な(一般社会では変わり者)研究者がたくさん登場する。アリの研究者ボルトン、妻との旅行に約束も忘れて研究に没頭するマッティングリー。新種に、ブッシュ大統領とその側近の名前をつけたり、ダースヴェイダーの名前をつけたり。アブラカダブラという名前をつけたのに、属が変わって平凡な名前になってしまったり。
とユーモアのセンスも一流である。

この博物館は壮大なコレクションを誇っているが、本書に登場する数々の研究者を見ても、単なる収集家たちではないかという気にもなるが、「コレクションにはどんなものも決して捨ててはいけないという大原則がある。生涯をコレクションにささげてきた人こそが、博物館の今そしてあるべき姿を築いている。」

ご他聞にもれず、イギリスでも研究者の予算獲得は厳しいようで、一流の研究者でさえ苦労している様子がうかがい知れる。
著者は言う。「環境への人為的影響が生態系全体を悪化させていく現在、自然史博物館の研究はこれまで以上に重要である」
そして本書は、著者が敬愛する人々が従事する研究を取り上げて著者の乾燥標本収蔵1号室をつくったとしている。

多くの研究者の努力によって収集され分類されてきたこの地球上の生命を解き明かしてきてくれた博物館と研究者たちに改めて敬意を表したい。
本書とともに大英自然史博物館をすっかり堪能し、いつかはぜひ訪れてみたい場所になった。
このレビューは参考になりましたか?
9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By naichi トップ500レビュアー
形式:単行本
博物館の魅力は、収蔵しているものではなく、来館者に見えないところで働く人々によって決まるそうだ。また、その土地の博物館を見れば、そこの社会がわかるとも言われる。それなら、世界最大級と言われる大英自然史博物館の実像は、一体いかなるものであろうか?本書は、古生物学の世界的権威である著者が、30年間過ごした古巣の素顔と、その住人たちの姿を綴った、貴重なアーカイヴである。

◆本書の目次
第1章 舞台裏への入り口
第2章 「分類」との闘い
第3章 雄弁な化石たち
第4章 恵みの動物界
第5章 美しき植物劇場
第6章 小さなつわものども
第7章 眠れる原石
第8章 「ノアの方舟」の軌跡
第9章 変わりゆくミューズたちの館

大英自然史博物館には、古生物研究部、鉱物研究部、動物研究部、植物研究部、昆虫研究部という5つの研究部があるそうだ。そこで働く研究者たちと大学などで働く研究者には、決定的な違いがある。それは研究の全てが、分類という使命のためになされているということだ。分類によって作られたコレクションこそが、博物館の個性であり存在目的なのである。よって一般的に、博物館で公開されているスペースは、全体の面積の半分にも満たないという。

展示室の裏側に広がる巨大迷路のような世界、そしてそこに生息する住人たち。その人間模様が前半のハイライトである。自分の「種」に一生を捧げる人たちの奇人変人ぶりは、群を抜く。クジラのプロは、クジラの耳垢でその年齢を瞬時に読み取り、アリの研究者は働きアリのように勤勉で、甲虫研究家の中には堅い殻に閉じこもり、日光を避ける人もいたそうである。

また、研究以外での変人エピソードも盛りだくさんである。ある植物研究部長は、エレベーターで女性と乗り合わせると、蔓植物がものに巻きつくように、下半身に手が伸びてきたそうだ。また、別の研究者からは死後に一束の検索カードが見つかり、その一枚一枚にベッドで征服した相手の名前が記され、恥毛が貼りつけられていたという。分類学者の本能(?)とは、恐ろしきものである。

一方で後半の興味の対象は、このような奇人オールスターズを、どのようにガバナンスして来たかという点にある。その統治構造が大きく変化するのは、サッチャーの時代。「ビジネス優先」主義へと舵を切った大英自然博物館は、財務的な見地も考慮し、テーマパーク的なものへと変貌を遂げる。しかし、大英自然史博物館への注目は、次第に薄れていってしまう。この裏側では、非生産的とレッテルを貼られた多くの研究者たちが、博物館を跡にしている。

突き詰めて考えると、博物館や分類の役割は、一体何なのかというところに行きつく。それは「地球上のあらゆる生物種を知る」というところにある。Googleの使命と言われる「世界中の情報を整理する」にも近しいものである。しかし、加速度的に増える一方の検索情報に比べ、生物種の方は自然環境破壊により、絶滅の危機に頻しているものも多い。多様性の保持は、緊急性を孕むものであり、ここに合理性を持ちこむことは得策ではない。

「自然界における尊い生命の多様性を保持するためには、舞台裏の人間の多様性を確保する必要がある」というのが、著者からの隠れたメッセージであるだろう。軽妙な奇人トークの合間に、神妙なメッセージが織り込まれており、胸に迫る一冊である。
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5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By k007
形式:単行本
正直なところ、書名にはあまり魅力を感じなかったのだが、著者がリチャード・フォーティと知ってあわてて購入して読み始めた。32頁のカラー中絵がつく、けっこう贅沢なつくりの科学エッセイである。

大英自然史博物館の歴代の研究者の様々な人物像を描きながら、その周辺の研究内容についても紹介している。博覧強記のフォーティ博士の面目躍如たる一冊といえよう。

他のレビュアーが精確な評価してくれているので、やや俗っぽいことを。
フォーティは、これまでの著作でもユーモアたっぷりの描写で読者を十二分に楽しませてくれた。この本においても、その筆致は存分に発揮されていて、次々にやや浮世離れした研究者たちの活躍ぶりを、様々なエピソードを含めて紹介してくれている。

大英自然史博物館というのは、どうやら、かの「オペラ座」のように怪人たちが潜むところらしく、さまざまな研究者たちの生態を縦横無尽に描いている。フォーティ博士は、一事にのめり込んで研究しその研究対象についての第一人者になった同僚たちを「スパイダーマン」や「フィッシュマン」あるいは「藻類マン」と呼んでいる。クモや魚の専門家がいるのはさもありなんだが、蚊やノミあるいはシラミの専門家たちの話には驚いた。私も、何人か日本の「●●男」たちを知っているので、思い浮かべてニンマリしてしまった。
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