乱魔堂は洪栄龍(g,vo)が松吉久雄(vo)、矢島敏郎(ds)、猿山幸夫(b)と結成したバンドです。バンドは1971年1月に結成され、1972年は9月のツアーの他1月26日「風都市コンサート」(豊島公会堂)、5月6日「第2回・春一番コンサート」(天王寺野外音楽堂)、5月13日「第4回・日本語のふぉーくとろっくこんさーと」(日比谷野外音楽堂)、8月26日・埼玉会館大ホール「RSU夏の陣」 、10月14日「第5回日本語のフォークとロックのコンサート」(日比谷野外音楽堂)、11月3日「大島フォークジャンボリー」(大島自然公園野外ステージ)・・・などなど、かなり活発に活動したようですが、この年の12月に解散、活動期間は僅か2年でした。
アルバムとしては、唯一のスタジオ・アルバムが1972年8月1日発表の本作品で、他には1971年8月の第3回全日本フォーク・ジャンボリーで演奏が「1971 SUMMER」として発表されています。
その後マニアのみ知るところでしたが、1997年に洪栄龍のアルバム「天地洪荒」がリリースされたのをきっかけに再評価されたのでしょう、1998年に「1971 SUMMER」と「乱魔堂」が初CD化されました。現在はいずれも廃盤で、前者は「URC音源CD化プロジェクト」にエントリー中、後者は2003年のこの紙ジャケとして入手可能な状態です。また2005年9月に乱魔堂;再結成コンサートをやったようですが、松吉久雄(vo)は参加していませんでした(タイに行ったまま行方不明との噂)。
乱魔堂ははっぴいえんどと同じ事務所「風都市」に所属しており、アルバムにははっぴいえんどの松本隆やはちみつぱいの鈴木慶一も参加しています。洪栄龍が「はっぴいえんどに感銘を受けた」と語っている通り、かなりはっぴいえんどに通じる世界と言えそうです。ギターはとめどなく弾きまくってて起承転結をあまり考えてないです。演奏は下手というよりルーズにやってるという感じです。いくつか「ウエスト・コースト系サウンド」と評されているのを読みましたが、実際はかなりヴァラエティに富む内容で、そうしたカテゴライズには必ずしも同意できません。硬質でギザギザとささくれたギターのオトは寧ろブリティッシュ・ロックの系譜に属するように思います。いずれにせよ、日本語のロックの心地よさが凝縮された名盤です。はっぴいえんどあたりに興味がある人は必聴のアルバムでしょう。愛すべきアルバムと思います。