平井隆太郎氏が、父乱歩の生涯を、残された「貼雑年譜」を使って述べたエッセイである。
もともとは、講談社の乱歩文庫全集に連載されていた。
横長の本体は、乱歩の「貼雑年譜」の体裁であり、そのページを写真で紹介する都合上、このようになったと思われる。
乱歩の幼少時の写真から、戦中戦後の写真、全集や作品の映画化に関する写真など、ヴィジュアル的には盛りだくさんで、眺めているだけでも楽しい。
そこに、隆太郎氏の文章が加わるのだから、これ以上のものはない。
少々高価な本ではあるが、乱歩ファンであれば、読む価値はある。
乱歩の「貼雑年譜」全巻を手にすることは不可能であり、また全巻を覆刻したら、それこそ普通では手野でない価格になってしまう。
本書は、そのエッセンスであり、必要にして十分なものだと言っても良い。
惜しむらくは、少々判型が小さいことである。
もうひとまわり大きかったら、と思うのは贅沢だろうか。
「覆刻版探偵小説四十年」くらいの大きさだったら、とも思う。