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乱暴と待機 (MF文庫ダ・ヴィンチ)
 
 

乱暴と待機 (MF文庫ダ・ヴィンチ) [文庫]

本谷有希子
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

二段ベッドが置かれた、陰気な借家に同居する“妹”こと奈々瀬と“兄”英則。奈々瀬は家にこもり、「あの日」から笑顔を見せなくなった“兄”を喜ばせるため日々「出し物」のネタを考えながら、英則からこの世で最も残酷な復讐をされる日を待ち続けている。一方、英則はそんな“妹”を屋根裏に潜り込んでは覗く、という行為を繰り返していた。そこへ英則の同僚・番上が訪れ・・・・。文庫版の解説は穂村弘。

映画『乱暴と待機』 2010年秋、テアトル新宿ほかにて全国ロードショー

内容(「BOOK」データベースより)

二段ベッドが置かれた、陰気な借家に同居する“妹”こと奈々瀬と“兄”英則。奈々瀬は家にこもり「あの日」から笑顔を見せなくなった“兄”を喜ばせるため日々「出し物」のネタを考えながら、英則からこの世で最も残酷な復讐をされる日を待ち続けている。一方、英則はそんな“妹”を屋根裏に潜り込んでは覗く、という行為を繰り返していた。そこへ英則の同僚・番上が訪れ…。

登録情報

  • 文庫: 224ページ
  • 出版社: メディアファクトリー (2010/8/25)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4840134995
  • ISBN-13: 978-4840134996
  • 発売日: 2010/8/25
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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15 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By cooter
形式:単行本(ソフトカバー)
本谷有希子の小説はすべて読んでいますが、この『乱暴と待機』は特に好きな作品です。
基本的にはどの作品にも、えてして自意識が甚だしく肥大した、至極めんどくさい、
極力ともだちにはなりたくない人々(特に女)が出てきます。

この作品の主人公・奈々瀬は、人に少しでもイラつかれることを恐れるあまり、
常に人の顔色を伺っては「エヘヘ」と(本当に言葉に出して)愛想笑いしてしまうような、
膀胱が破裂寸前なのに会話の途中で「ちょっとトイレに」と言い出せず失禁してしまうような、
友達の彼氏とも、誘われれば断れず寝てしまうような、これまた何とも生きにくそうな女。
そんな奈々瀬と同居している「お兄ちゃん」こと英則も、非常にややこしい人物で…(笑)

物語は、ある日、天井板の一部がはずれているのを発見した英則が、「妹」こと奈々瀬を天井裏から覗き見ることを思いつく……
というところから始まります。
「これでは変態ではないかっ」と自問・葛藤するも、「ねずみがいるっぽいから、どうにかしなきゃだよね」と奈々瀬が言っていたのを思い出すと「この事態は、あの女(奈々瀬)の自業自得だ」という独自の理論を展開し、サクッと変態の境界を越えます。
そしてさらに読みすすめていくうち、理由は明かされないままにどうやら2人が「復讐する側→兄」「復讐される(復讐を待っている)側→妹」という関係にあることがわかってきます。
しかし、この物語の肝は、じつは復讐の理由にではなく、2人の関係性にあります。
やがて、この2人の(閉じた)世界は、英則の職場の後輩・番上とその彼女・あずさの介入によって、変質していくのですが──

読み手として共感できるのは、しいていえば「あずさ」くらい。「兄」と「妹」の関係は、
さすがにいい歳してこんな奴ら居ないだろうというほどに奇異。
けれども、後半! 二段ベッドの上と下でその「兄」と「妹」が「嘘の会話」をかわすのですが、このシーンは舞台を見た時も、本を何度読み返しても、あまりに切なく、いつも泣けてしまいます。ほんとうに、すばらしい。

「屋根裏から覗き見」という設定から、乱歩の『屋根裏の散歩者』のようと言われることが多いようですが、私は本質的には谷崎の『鍵』のほうが近いのではないかと思います。
あと、装画がヱヴァンゲリヲンの監督・鶴巻和哉なんですよね。かなり乱暴な言い方かもしれませんが、「世界系」ということで言えば、ヱヴァと本作は共通する点があるようにも(少なくとも、私はどちらも大好きな作品です)。

来年の秋くらいに映画が公開されるようですが、「兄」が浅野忠信で、「妹」は美波だそうです(他のキャストは、小池栄子と山田孝之)。
そして、監督は『パンドラの匣』『パビリオン山椒魚』の冨永昌敬!(相対性理論の『地獄先生』PVなども撮っている方ですね)。
個人的には、ものすごく期待大な顔ぶれです。
あの二段ベッドのシーンがどう映像化されるのか、今から楽しみで仕方ありません!!
このレビューは参考になりましたか?
3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Z? VINE™ メンバー
形式:単行本(ソフトカバー)
本作は劇作家・演出家でもある本谷有希子の小説。
同じ部屋に暮らす男女の異様な関係と、その変化の様子を描く。

毎日、天井裏から奈々瀬を除く英則。
英則の復讐を待つ奈々瀬。
奈々瀬は覗かれていることを知りつつ、知らないふりをする。
また英則は奈々瀬に気づかれていることを知りつつも、それに気づかないふりをする。
二人の間に出来上がっていた奇妙な関係の間に、職場の後輩である番上とその恋人あずさが介入する。
登場人物はたったの4人。
まともな二人と、そうではない二人。
そもそも別次元の感覚で生きる二人と二人が交錯したとき、生まれるのは不協和音しかない。
お互いに理解できず、不快に思い、イライラする4人。
そして次第に英則と奈々瀬の生活に変化が現れ始める。

ストーリー中、とにかく奈々瀬の言動はどれも痛々しくて見ていられない。
あずさによって回想される学生時代のエピソードや、番上のアプローチなどを見ていると、
奈々瀬の対応能力は極めて低く、目もあてられない。
が、逆に目が離せない。
とても痛いが、不思議な魅力をもったヒロインである。

また、本作の登場人物で重要な役割を果たしたのは番上である。
誰もが保守的である中、彼だけが好奇心旺盛であり続け、他の3人を振り回すことによって、ストーリーを強引に進行させた。
異様な世界に臆しつつも、果敢に土足で踏み込めるその好奇心があってこそ、本作は成立したのだと思う。

読み始め、文章中の表現に無理をしているというか、稚拙さのようなものを感じたが、
読み進めるうちにそこがストーリーと妙にマッチしていると感じ始めた。
なかなか個性的で、不思議な好感が持てた。
映画ではどう描かれるのかとても気になる作品。
このレビューは参考になりましたか?
形式:単行本(ソフトカバー)
壊れた人間を描かせたらたぶん日本一の作家、本谷有希子が描く恋愛小説。

「お兄ちゃん」の復讐をただひたすら待ち続ける奈々瀬と、理由もなく奈々瀬への復讐方法をひたすら考え続ける英則。そんな奇妙な二人の生活の場に、ある日、一組のカップルが割り込んできて……。

四人の視点で物語を語るという、ちょっと変わった趣向で、人の壊れている様子が描かれます。
また四人が四人ともみんな「どこかおかしい」人なのはさすが本谷有希子といった感じ。
いつもとやや違い、壊れているというよりは「変態」な人が出てくるのも面白かったです。

もっとも、視線を変えて深読みしたり、まっすぐに読むとすぐさまとても怖い小説になります。この辺、どう読むかは読者次第なのではないでしょうか。

個人的には、彼女にはこの路線をまっすぐ突き進んで行って欲しいです。

あとタイトルは「復讐」でよかったような気がしました。
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