登録情報
|
|
あなたの意見や感想を教えてください:
|
||||||||||||||||||||||
|
最も参考になったカスタマーレビュー
15 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
“共感できない”のに、泣ける!,
By cooter (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 乱暴と待機 (ダ・ヴィンチブックス) (単行本(ソフトカバー))
本谷有希子の小説はすべて読んでいますが、この『乱暴と待機』は特に好きな作品です。基本的にはどの作品にも、えてして自意識が甚だしく肥大した、至極めんどくさい、 極力ともだちにはなりたくない人々(特に女)が出てきます。 この作品の主人公・奈々瀬は、人に少しでもイラつかれることを恐れるあまり、 常に人の顔色を伺っては「エヘヘ」と(本当に言葉に出して)愛想笑いしてしまうような、 膀胱が破裂寸前なのに会話の途中で「ちょっとトイレに」と言い出せず失禁してしまうような、 友達の彼氏とも、誘われれば断れず寝てしまうような、これまた何とも生きにくそうな女。 そんな奈々瀬と同居している「お兄ちゃん」こと英則も、非常にややこしい人物で…(笑) 物語は、ある日、天井板の一部がはずれているのを発見した英則が、「妹」こと奈々瀬を天井裏から覗き見ることを思いつく…… というところから始まります。 「これでは変態ではないかっ」と自問・葛藤するも、「ねずみがいるっぽいから、どうにかしなきゃだよね」と奈々瀬が言っていたのを思い出すと「この事態は、あの女(奈々瀬)の自業自得だ」という独自の理論を展開し、サクッと変態の境界を越えます。 そしてさらに読みすすめていくうち、理由は明かされないままにどうやら2人が「復讐する側→兄」「復讐される(復讐を待っている)側→妹」という関係にあることがわかってきます。 しかし、この物語の肝は、じつは復讐の理由にではなく、2人の関係性にあります。 やがて、この2人の(閉じた)世界は、英則の職場の後輩・番上とその彼女・あずさの介入によって、変質していくのですが── 読み手として共感できるのは、しいていえば「あずさ」くらい。「兄」と「妹」の関係は、 さすがにいい歳してこんな奴ら居ないだろうというほどに奇異。 けれども、後半! 二段ベッドの上と下でその「兄」と「妹」が「嘘の会話」をかわすのですが、このシーンは舞台を見た時も、本を何度読み返しても、あまりに切なく、いつも泣けてしまいます。ほんとうに、すばらしい。 「屋根裏から覗き見」という設定から、乱歩の『屋根裏の散歩者』のようと言われることが多いようですが、私は本質的には谷崎の『鍵』のほうが近いのではないかと思います。 あと、装画がヱヴァンゲリヲンの監督・鶴巻和哉なんですよね。かなり乱暴な言い方かもしれませんが、「世界系」ということで言えば、ヱヴァと本作は共通する点があるようにも(少なくとも、私はどちらも大好きな作品です)。 来年の秋くらいに映画が公開されるようですが、「兄」が浅野忠信で、「妹」は美波だそうです(他のキャストは、小池栄子と山田孝之)。 そして、監督は『パンドラの匣』『パビリオン山椒魚』の冨永昌敬!(相対性理論の『地獄先生』PVなども撮っている方ですね)。 個人的には、ものすごく期待大な顔ぶれです。 あの二段ベッドのシーンがどう映像化されるのか、今から楽しみで仕方ありません!!
3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
痛いヒロイン奈々瀬の魅力,
By
レビュー対象商品: 乱暴と待機 (ダ・ヴィンチブックス) (単行本(ソフトカバー))
本作は劇作家・演出家でもある本谷有希子の小説。同じ部屋に暮らす男女の異様な関係と、その変化の様子を描く。 毎日、天井裏から奈々瀬を除く英則。 英則の復讐を待つ奈々瀬。 奈々瀬は覗かれていることを知りつつ、知らないふりをする。 また英則は奈々瀬に気づかれていることを知りつつも、それに気づかないふりをする。 二人の間に出来上がっていた奇妙な関係の間に、職場の後輩である番上とその恋人あずさが介入する。 登場人物はたったの4人。 まともな二人と、そうではない二人。 そもそも別次元の感覚で生きる二人と二人が交錯したとき、生まれるのは不協和音しかない。 お互いに理解できず、不快に思い、イライラする4人。 そして次第に英則と奈々瀬の生活に変化が現れ始める。 ストーリー中、とにかく奈々瀬の言動はどれも痛々しくて見ていられない。 あずさによって回想される学生時代のエピソードや、番上のアプローチなどを見ていると、 奈々瀬の対応能力は極めて低く、目もあてられない。 が、逆に目が離せない。 とても痛いが、不思議な魅力をもったヒロインである。 また、本作の登場人物で重要な役割を果たしたのは番上である。 誰もが保守的である中、彼だけが好奇心旺盛であり続け、他の3人を振り回すことによって、ストーリーを強引に進行させた。 異様な世界に臆しつつも、果敢に土足で踏み込めるその好奇心があってこそ、本作は成立したのだと思う。 読み始め、文章中の表現に無理をしているというか、稚拙さのようなものを感じたが、 読み進めるうちにそこがストーリーと妙にマッチしていると感じ始めた。 なかなか個性的で、不思議な好感が持てた。 映画ではどう描かれるのかとても気になる作品。
5つ星のうち 4.0
笑いは抑え目。,
By
レビュー対象商品: 乱暴と待機 (ダ・ヴィンチブックス) (単行本(ソフトカバー))
壊れた人間を描かせたらたぶん日本一の作家、本谷有希子が描く恋愛小説。「お兄ちゃん」の復讐をただひたすら待ち続ける奈々瀬と、理由もなく奈々瀬への復讐方法をひたすら考え続ける英則。そんな奇妙な二人の生活の場に、ある日、一組のカップルが割り込んできて……。 四人の視点で物語を語るという、ちょっと変わった趣向で、人の壊れている様子が描かれます。 また四人が四人ともみんな「どこかおかしい」人なのはさすが本谷有希子といった感じ。 いつもとやや違い、壊れているというよりは「変態」な人が出てくるのも面白かったです。 もっとも、視線を変えて深読みしたり、まっすぐに読むとすぐさまとても怖い小説になります。この辺、どう読むかは読者次第なのではないでしょうか。 個人的には、彼女にはこの路線をまっすぐ突き進んで行って欲しいです。 あとタイトルは「復讐」でよかったような気がしました。
あなたの意見や感想を教えてください: 自分のレビューを作成する
|
最近のカスタマーレビュー |
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|
|