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乱暴と待機 (ダ・ヴィンチブックス)
 
 

乱暴と待機 (ダ・ヴィンチブックス) [単行本(ソフトカバー)]

本谷 有希子 , 鶴巻 和哉
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 1,365 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容紹介

復讐相手として憎まれている限り、
お兄ちゃんが私から離れていくことはない――ゼロ年代カルチャーを牽引する劇作家&小説家の本谷有希子が、同タイトルの戯曲作品を、自ら小説化。恋愛小説以上に、切実で胸にぐっとくる男と女の濃密な物語。
<四年近くもの間、二段ベッドが置かれた六畳間ひとつの古く陰気な借家で同居している三十歳間近の“兄”こと英則と、“妹”、奈々瀬。奈々瀬は上下灰色のスェットにだて眼鏡姿で家に籠もり「あの日」から笑顔を見せなくなった英則のために日々“笑い”のネタを考えている。保健所で犬の殺処分の仕事をしている英則は一年前、天井板の一角に隙間を発見したのをきっかけに、帰宅後、屋根裏に潜り込んでは“妹”を覗く、という行為を繰り返しているのだった……>

著者について

1979年石川県生まれ。2000年8月に自身が主宰・作家・演出を務める「劇団、本谷有希子」を旗揚げ。第11回公演作『遭難、』で第10回鶴屋南北戯曲賞を最年少で受賞。小説家としても活躍中で、現在5冊の単行本(『遭難、』の戯曲本を含む)を刊行している。新潮社から刊行された『生きてるだけで、愛。』が芥川賞候補作にノミネートされたほか、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(講談社刊)がこの夏映画化されるなど各界で大きな注目を集め、NHK『トップランナー』に出演したり『AERA』の表紙を飾ったりも。

登録情報

  • 単行本(ソフトカバー): 224ページ
  • 出版社: メディアファクトリー (2008/2/27)
  • ISBN-10: 4840121761
  • ISBN-13: 978-4840121767
  • 発売日: 2008/2/27
  • 商品の寸法: 19 x 13.2 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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15 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 “共感できない”のに、泣ける!, 2009/12/1
レビュー対象商品: 乱暴と待機 (ダ・ヴィンチブックス) (単行本(ソフトカバー))
本谷有希子の小説はすべて読んでいますが、この『乱暴と待機』は特に好きな作品です。
基本的にはどの作品にも、えてして自意識が甚だしく肥大した、至極めんどくさい、
極力ともだちにはなりたくない人々(特に女)が出てきます。

この作品の主人公・奈々瀬は、人に少しでもイラつかれることを恐れるあまり、
常に人の顔色を伺っては「エヘヘ」と(本当に言葉に出して)愛想笑いしてしまうような、
膀胱が破裂寸前なのに会話の途中で「ちょっとトイレに」と言い出せず失禁してしまうような、
友達の彼氏とも、誘われれば断れず寝てしまうような、これまた何とも生きにくそうな女。
そんな奈々瀬と同居している「お兄ちゃん」こと英則も、非常にややこしい人物で…(笑)

物語は、ある日、天井板の一部がはずれているのを発見した英則が、「妹」こと奈々瀬を天井裏から覗き見ることを思いつく……
というところから始まります。
「これでは変態ではないかっ」と自問・葛藤するも、「ねずみがいるっぽいから、どうにかしなきゃだよね」と奈々瀬が言っていたのを思い出すと「この事態は、あの女(奈々瀬)の自業自得だ」という独自の理論を展開し、サクッと変態の境界を越えます。
そしてさらに読みすすめていくうち、理由は明かされないままにどうやら2人が「復讐する側→兄」「復讐される(復讐を待っている)側→妹」という関係にあることがわかってきます。
しかし、この物語の肝は、じつは復讐の理由にではなく、2人の関係性にあります。
やがて、この2人の(閉じた)世界は、英則の職場の後輩・番上とその彼女・あずさの介入によって、変質していくのですが──

読み手として共感できるのは、しいていえば「あずさ」くらい。「兄」と「妹」の関係は、
さすがにいい歳してこんな奴ら居ないだろうというほどに奇異。
けれども、後半! 二段ベッドの上と下でその「兄」と「妹」が「嘘の会話」をかわすのですが、このシーンは舞台を見た時も、本を何度読み返しても、あまりに切なく、いつも泣けてしまいます。ほんとうに、すばらしい。

「屋根裏から覗き見」という設定から、乱歩の『屋根裏の散歩者』のようと言われることが多いようですが、私は本質的には谷崎の『鍵』のほうが近いのではないかと思います。
あと、装画がヱヴァンゲリヲンの監督・鶴巻和哉なんですよね。かなり乱暴な言い方かもしれませんが、「世界系」ということで言えば、ヱヴァと本作は共通する点があるようにも(少なくとも、私はどちらも大好きな作品です)。

来年の秋くらいに映画が公開されるようですが、「兄」が浅野忠信で、「妹」は美波だそうです(他のキャストは、小池栄子と山田孝之)。
そして、監督は『パンドラの匣』『パビリオン山椒魚』の冨永昌敬!(相対性理論の『地獄先生』PVなども撮っている方ですね)。
個人的には、ものすごく期待大な顔ぶれです。
あの二段ベッドのシーンがどう映像化されるのか、今から楽しみで仕方ありません!!
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3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 痛いヒロイン奈々瀬の魅力, 2010/10/31
By 
Z? - レビューをすべて見る
(VINEメンバー)   
レビュー対象商品: 乱暴と待機 (ダ・ヴィンチブックス) (単行本(ソフトカバー))
本作は劇作家・演出家でもある本谷有希子の小説。
同じ部屋に暮らす男女の異様な関係と、その変化の様子を描く。

毎日、天井裏から奈々瀬を除く英則。
英則の復讐を待つ奈々瀬。
奈々瀬は覗かれていることを知りつつ、知らないふりをする。
また英則は奈々瀬に気づかれていることを知りつつも、それに気づかないふりをする。
二人の間に出来上がっていた奇妙な関係の間に、職場の後輩である番上とその恋人あずさが介入する。
登場人物はたったの4人。
まともな二人と、そうではない二人。
そもそも別次元の感覚で生きる二人と二人が交錯したとき、生まれるのは不協和音しかない。
お互いに理解できず、不快に思い、イライラする4人。
そして次第に英則と奈々瀬の生活に変化が現れ始める。

ストーリー中、とにかく奈々瀬の言動はどれも痛々しくて見ていられない。
あずさによって回想される学生時代のエピソードや、番上のアプローチなどを見ていると、
奈々瀬の対応能力は極めて低く、目もあてられない。
が、逆に目が離せない。
とても痛いが、不思議な魅力をもったヒロインである。

また、本作の登場人物で重要な役割を果たしたのは番上である。
誰もが保守的である中、彼だけが好奇心旺盛であり続け、他の3人を振り回すことによって、ストーリーを強引に進行させた。
異様な世界に臆しつつも、果敢に土足で踏み込めるその好奇心があってこそ、本作は成立したのだと思う。

読み始め、文章中の表現に無理をしているというか、稚拙さのようなものを感じたが、
読み進めるうちにそこがストーリーと妙にマッチしていると感じ始めた。
なかなか個性的で、不思議な好感が持てた。
映画ではどう描かれるのかとても気になる作品。
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5つ星のうち 4.0 笑いは抑え目。, 2011/6/15
レビュー対象商品: 乱暴と待機 (ダ・ヴィンチブックス) (単行本(ソフトカバー))
壊れた人間を描かせたらたぶん日本一の作家、本谷有希子が描く恋愛小説。

「お兄ちゃん」の復讐をただひたすら待ち続ける奈々瀬と、理由もなく奈々瀬への復讐方法をひたすら考え続ける英則。そんな奇妙な二人の生活の場に、ある日、一組のカップルが割り込んできて……。

四人の視点で物語を語るという、ちょっと変わった趣向で、人の壊れている様子が描かれます。
また四人が四人ともみんな「どこかおかしい」人なのはさすが本谷有希子といった感じ。
いつもとやや違い、壊れているというよりは「変態」な人が出てくるのも面白かったです。

もっとも、視線を変えて深読みしたり、まっすぐに読むとすぐさまとても怖い小説になります。この辺、どう読むかは読者次第なのではないでしょうか。

個人的には、彼女にはこの路線をまっすぐ突き進んで行って欲しいです。

あとタイトルは「復讐」でよかったような気がしました。
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