日本推理作家協会の選考委員である北村薫さんが
「『乱反射』に与えないようなら、推理作家協会賞の意義はない」
とまで言わしめた選評に興味を持って手に取りました。
巻頭からいきなり、登場人物の殆どが犯人という種明かしがあります。
それがあったことで“事件”にたどり着くまでの、
長い長い導入の意味が理解できます。
各章につける数字は、マイナス44から始まり、
事件が起こってから改めて第1章となります。
それぞれの登場人物の“身勝手な都合”が、
幼い子供を死に追いやっていく過程が丁寧に描かれています。
個人的なエゴが、三人、四人と積み重なった時、
人為的な殺人に発展する恐ろしさ‥。作者はそこに目を向けたのですね。
子供を喪った親の心情描写は胸に迫ります。
<直木賞候補作> <日本推理作家協会賞>