一口に九谷焼と言っても様式の幅は非常に広く、現代作家の作品は多様を極める。
特に、作者または製品により上絵の色の質がぜんぜん違う。
では、九谷焼のアイデンティティーって何なのだろうか?
この疑問を解きたくて本書を購入した。
最低限押えておくべき歴史的背景から、代表的様式、素地や絵具の材料、製造工程、九谷焼業界が現在抱える問題・将来の展望など。
著者はこれらを平易に説明してくれる。
素地や絵具の材料の理解は非常に重要で、特に下絵に使われる呉須、上絵に使われる和絵具の説明で九谷焼がかなり見えてくる。
九谷焼業界の課題のひとつとして啓蒙ということを著者は挙げているが、本書は正に素晴らしい啓蒙書といえる。
読み進むうちに、私のような素人にも九谷焼の本物とレプリカが区別できそうな気がしてきた。