東西線九段下駅から、古本屋街(神保町の交差点)方向に歩いて行くときに、今では場違いな不思議なビルがあることに気づいた方、結構、いるのではないでしょうか?
このビルを舞台にした四つのオムニバスショートストリーのひとつ「此処へ」・・・兄の葬儀中に江戸川乱歩の「人間豹」を読む不思議な妖艶さをもつ女主人公、その女のさまざまな顔の表情をアップで、たたみかけるように描き戦時中の女と男の物語を展開していく筆には圧倒されました。
私は、表題「此処へ」は、“ここからはじまる”とのメッセージと受け取りました。この女主人公のその後を?どう描くのだろうか? この女主人公のキャラクターを今後どう展開していくのだろうか? 作者の次回作を期待します。