「大学改革」という言葉の中身を初めて正確に知ることができた。新聞報道などにより、最近、日本の大学が教育や研究の質を高めるための組織改革に取り組んでいるらしいということは知っていたが、具体的な内容まではほとんど分からなかった。それが本書を読んでよく分かり、大変参考になった。
この本によれば、九州大学のユーザーは本来の学生に加えて、子供も大人も、地域住民までも含むという。大学は新しい知識を生み出す源泉の役目を果たし、その新しい知識を受け取るのは、学生ばかりではないという。みんなに新しい知識を提供することこそ、大学本来の姿なのだという。
そういえば、「知識社会」という言葉が流行ったことがあった。知識が価値を持つ時代とのふれこみだった。21世紀の日本は新しい知識を基に高付加価値の高度な製品やサービスをつくりあげ、日本が先進国としてあり続ける、ということらしい。その新しい知識の大部分を提供する役目を大学が引き受けるという。
九州大学は、これからの日本に必要となるだろう研究テーマを選択し、その研究テーマに教員チームを集中的に投入するというトップダウン戦略を実行する。こんなことを最近の日本の大学は行っているのかと知って驚いた。
もちろん、多くの教員は従来のように個人として自分の好奇心を満たすために研究しているようだ。しかし、その中から、これはという優れた研究成果を選び出し、それに集中して新しい技術をつくり出す。そんな時代を迎えていることがよく分かった。