私は医師で実際にうちの診療所の患者さんに糖質制限食を指導しています。もちろん効果は絶大です。糖尿病の病態はまさに江部先生の説明通りです。しかし糖尿病学会では糖質制限療法はほとんど無視されています。アメリカの学会は日本ほどではありませんが似たような状況です。しかしながら糖質制限がいかに有効かという論文は欧米では結構な数出ており内容もすばらしいものが多く、患者さんを指導してゆく上での自信になります。日本の研究施設からも数は少ないですが発表されています。
日本の医療の現状では残念ながら糖尿病の糖質制限療法は未だマイナーな、ある意味”きわもの”療法の扱いです。当地域の糖尿病治療の指導的な立場にある医師も同じような態度をとります。日本の糖尿病治療の現状は専門的な医療機関で治療されている患者さんの平均HbA1c7.1%です。糖質制限中心の当院ではきちんと治療している患者さんで7%代の人はほとんどいません。ほとんどの患者さんは6%以下にコントロールされています。理にかなった糖質制限治療が普及しない理由はどうしてなんだろうか?と、世のドクターは糖尿病の病態をきちんと理解していないから、もしくは治療戦略の現状を変えたくないという保守的な考えからか、私はいつも疑問に思っています。この治療法をもっと普及させたいと考えて治療している医師の一人としてこの本はすばらしいと思います。