著者の調査が描く、主婦パートの境遇はつらい。6時間労働で家事もほとんど1人でやり…では心身ともに疲弊していく。今の主婦パートは売上競争、仕入れ、研修など正社員並みの仕事をこなすのに、半人前の労働者と見做され、給料も半分。国内最大の非正規雇用者なのに、家庭に入っているので派遣などに隠れて問題が顕在化しない。本書は、隠れた労働問題である主婦パートの問題点を指摘している。
労働問題の本だと、「劣悪な待遇の告発」一辺倒に終わってしまいがちだが、本書では、正社員並みの働きを追求し続けた、小売企業がくらったしっぺ返しが書かれているのも面白い。外食、小売バイト経験者なら分かると思うが、ボスバイトの問題だ。長く在籍していて、その店のオペレーションは社員よりよく知ってるけど、待遇は社員には届かないから、やる気がなくなり、勝手に店のオペレーションを作り替えてしまう。ボスがいないと店が回らないし、ひどいと商品を持ち帰ってしまうから、社員もボスのご機嫌を窺うようになってしまう。正社員なら転勤させればいいが、バイトはそうするわけにもいかない。店に社員が常駐しないので、改善の芽も放置され、店は荒んでいく。
店側にも隠れたマイナスが大きいことから、パート主婦のパートタイム正社員化が好ましいと著者は指摘する。主婦パートをもう低待遇に据え置く矛盾は解消すべきという著者の考えに同感だが、社会保険などの企業の追加的負担についてはどうまかなうのか。現在が不当な搾取だったから、企業が負担分を持つ、という考え方なのだろうか。また、正社員は解雇のハードルが非常に高いが、単純な正社員化では、良くも悪くも雇用の調整弁だったパートがなくなることで、主婦たちの手っ取り早い収入源のハードルが高くなるのでは、という心配もある。正社員に痛みを求めることが必要になるのではないかと思われるが、著者の考えを知りたいと思った。