だれもが、自分の加齢変化を「老化による衰え」と認識することに心理的抵抗を感ずるものである。老化して嬉しい‥と本気で思う人は多くはないだろう。自動車を愛し、運転を愛し、そしてそういう自分の趣味にある種の自負を抱く人には、視力や反射の衰えほど悲しいものはない。著者の過去の発言に対しては色々と批判もあるが、しかし本邦における自動車評論の草分けとして、老年期における「運転の仕方」を著した功績は小さくない。この本の内容そのものには、私個人としては幾つか疑問点があるが、全体としては非常によく出来た本である。公道における運転は、一歩間違えば自分の落命のみならず、他人とその家族の運命を奈落に落とす。こういう本を書店で手にする人は、サーキットタイムがどうこうという意味ではなく、公道における運転者として、間違いなく意識の高い人達だと思う。