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中野京子と読み解く名画の謎 ギリシャ神話篇
 
 

中野京子と読み解く名画の謎 ギリシャ神話篇 [単行本]

中野 京子
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

★謎が解けたら、名画は最高の「エンターテインメント」になる!

日本人の苦手ジャンルとされてきたギリシャ神話の名画を、西洋文化史に精通する著
者が痛快に読み解きます。そうして見えてくるのは、ゾクゾクするほど面白い神々と
人間のドラマ。

主神ゼウスや、愛欲の女神ヴィーナス、太陽神アポロン、処女神ディアナなど、そう
そうたる神々が繰り広げる全20篇の物語を収録。

■ オリュンポス十二神の関係がひと目でわかる「神々の系譜」付き
■ 紹介する名画は30点。すべて美しいビジュアルにこだわったオールカラー
■ 主要絵画24点は、引き出し線を使って詳細に解説

レンブラント『ダナエ』/ティントレット『天の川の起源』/セスト(ダ・ヴィンチ模写)『卵から生まれた双子』/ジェローム『ピグマリオンとガラテア』/ボッティチェリ『春(プリマヴェーラ)』/ゴヤ『運命の女神たち』など。

内容(「BOOK」データベースより)

『怖い絵』の著者が贈る神々と人間の20の物語。

登録情報

  • 単行本: 262ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2011/3/9)
  • ISBN-10: 4163738509
  • ISBN-13: 978-4163738505
  • 発売日: 2011/3/9
  • 商品の寸法: 18.8 x 12.8 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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19 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
☆5つ 2011/6/8
ギリシャ神話と、それを描いた名画。
目に(耳に)したことは少なからずありながら、特に興味を覚えることも無いままスルーしてきました。
そういう方は多いんじゃないでしょうか。
それが、この著者の語り口を介すとこうも面白く見えてくるものか。
☆5つでオススメ。

『怖い絵』はシリーズ全て読みましたので、そっちと内容がカブってたら嫌だなー、と思いながらの購入でしたが、その心配は無用でした。
同じ絵をテーマとした章もあるにはありましたが、語る内容のテーマは全く違いますしね。
同様のことを気にされる方もいるかと思いますので、参考までに。

ちょっとだけ残念に思えたのは、絵を載せるタイミング。
各章ともに、章が始まって数ページのタイミングでテーマの絵が掲載されてるわけですが、これをもう少し文章内容に合わせるわけにはいかなかったのかな、と。
例えば、章によっては一番最初にいきなり載せた方が楽しめたのに、と思ったりすることもありましたので。
まあ、あくまで強いて言えばの話ですし、絵自体は見やすく掲載されてましたので、評価を下げるようなものでもありませんけど。
このレビューは参考になりましたか?
12 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
読み手のページを繰る手を止めない推進力はいつもながらです 。
言うまでもなく神話の世界は、豊穣かつあり得ない物語が数々展開されるので、
それに伴う絵画も物語性豊か、豊か過ぎるくらいなので「お腹いっぱい」になるのですが、
中野さんの文章にかかると、読み疲れるというよりは、読み「憑かれる」といった具合。
神話、なので、飛んだり跳ねたりは当たり前、男か女かもよくわからない、しかも
神なのに、俗っぽい彼ら彼女たちのプリミティブでグロテスクで、残酷でもある物語
のシーンを表現する一枚の絵。ギリシャ神話に遠い日本人には、解説抜き、あるいは
解説付きでもわかりにくいところを、遠近取り混ぜた著者の解説で、ぐんと身近に
なります。神さまって、・・・なんだか人間ぽくて面白い、と。
個人的にはティントレットやジェローム、プッサンが気になり、食い入るように
細部を見てしまうのは、画家の遊び心と隠れメッセージが随所に見られるからでしょ
うか。注文主にもわからない隠れメッセージを、にやりとしながら描いていたことを
想像すると楽しくなってしまいます。でもそこに注目できたのも、中野さんの切り口
と筆あってこそなのですが。
現代の日本を生きる私たちは、ともすると、その時代その地方の美意識や宗教観、
倫理観を忘れて絵に対峙して、鑑賞眼の幅を狭めてしまうものですが、中野さんの一言で、
常にハンドルはニュートラルに戻せることができるのです。
また、詳細ではないけれど、各章に触れられる画家についてのコメントも効いています。
もっと知りたい、彼の人生を・・・・と思わずにはいられません。
その引き具合も計算されている・・・・ さすがです。
このレビューは参考になりましたか?
11 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By yukkiebeer #1殿堂 トップ50レビュアー
 『怖い絵』シリーズで多くの読者を魅了した著者が、ギリシャ神話の物語をモチーフにした作品群を相も変らぬ達意の文章で切り取って見せた一冊。
 ゼウス、ヴィーナス、アポロンをはじめとして様々な神々を描いた作品が私たちに指し示すのは、大いに破廉恥で甚だしく放埓な神たちの行いの数々。人間以上に人間くさいとしか言いようのないその姿は、かくも突き抜けていると、微苦笑を誘わざるをえません。
 そうした絵画のひとつひとつを著者は愛情込めて解説していきます。

 著者の筆で最もうならされたのは、伝ブリューゲル作と言われる『イカロス失墜のある風景』に触れたくだりです。
 私は21歳の時、どうしてもこの絵を見たくて列車を乗り継ぎブリュッセルまで足を運んだことがあります。以来、この絵画は最も思い入れのある作品です。
 通常イカロス物語は父親ダイダロスの忠告を守らず太陽に接近しすぎて命を落とした息子の無謀と無能を戒める話として解釈されることが多いでしょう。
 しかし、そうした教訓めいた点をおさえつつも著者はこう筆を進めるのです。

 「そもそも限度を超えた探究心というものは、知的精神に内包されたものであり、進歩に必要なものだ。(中略)かつて誰も為し得なかったことへ挑戦する者は、死の危険を引き受けざるをえない。
 そうだ、死んだっていいのだ。
 死を恐れていては何もできない。父にせよ誰にせよ、これまでの世代の人間の、ただのひとりとして見たことのなかったもの、見ようとしなかったものを、イカロスは見た。手に入れるには至らなかったが、しかし見た!それはすばらしいことではないか。命と引き換えにして悔いないものではなかったか。彼の次に続く者は、今度は手に入れられるかもしれない。」(169頁)

 なんとも力強いイカロス賛歌。私が最も愛する絵画にこのように肯定的な意味を読みとった著者のことが、羨ましくも妬ましく感じた瞬間でした。
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