本書は、雪と氷の独創的な研究に一生を捧げた中谷氏の随筆をセレクションしたものです(執筆年代は大正末期〜昭和35年頃)。素晴らしいの一言につきます。思いつくままにその魅力を紹介します。
1)科学とはどうあるべきかを軽妙洒脱に綴っているところ(決して大上段に構えることなく、完全な自分の言葉かつ自然体で書いているところがよいです。)
2)今から50〜80年前に執筆されたのにもかかわらず、内容的に全く古さを感じさせないところ(表現はさすがに昔風ですが、その論理は驚くほど現代的です)。この版は、活字が大きく、また現代風であるため、よけいにそう思われるのかもしれません。
3)特に「霜柱の研究について」は科学的であることとはどういうことかをこれほど分かりやすく示した文章はないのではないか、と思わせるほど魅力的です。
4)科学技術研究が細分化させた現在であるからこそ、本書の魅力はますます増えているのではないかと思えます。