新聞やテレビの報道だけではよくわからない(というより、まともに世界史を習った人間ですら理解するのが難しい)パレスチナ問題を、オスロ合意の時代から中東を見つめ続けてきた著者が平易に説き明かした一冊。紀元前のユダヤ人迫害から、20世紀初頭のイギリスによるアラブ侵略、そして戦後のイスラエル建国と中東戦争、頻発するテロ、オスロ合意から事実上の決裂にかけてと、複雑で長大な歴史的経緯をビギナーにもわかりやすいように書いている。また、ところどころに人物コラムがつけられていたり、単なる解説書で終わらないところも良い。妙にイスラエルの肩を持ったり、反米思想丸出しのパレスチナ擁護論をぶちあげているような偏向本とは違い、感情を抑え、淡々と事実を書き連ねているのにも好感が持てる。