本書は渡部昇一氏が初めて中村天風さんについて語った解説書
である。解説書といっても一言一句天風さんの言葉を説明した
訳ではない。どちらかといえば、渡部氏が天風さんの残した
言葉を頼りに独自の成功論を展開しているものと言っていいだろう。
私は天風さんの本をまだ読んだことがないため、本を買う前に天風さん
の思想とはどういうものかを知りたくて本書を購入した。本書は
渡部昇一流の中村天風論といった趣きのものだが、結果的に読んで
よかったと思う。その理由は、初心者にも分かりやすく天風さんの
哲学・思想を解説されているからである。
天風さんの言葉を取り上げながらも、エマーソンやマーフィー、ヒューム、
それに著者自身の経験や思想などを織り交ぜて語られているため、知的な満足感
を得ることが出来、非常に面白く読むことが出来た。 それゆえに、純粋な天風さん
の解説本とはいえないかもしれないが、これから天風さんの本を読もうという人には
格好の入門書となるだろうし、既に天風さんの本を何冊も読んでいる人にとっても
天風哲学の極意を知る手掛かりとなるのではないだろうか。
実際、本書を読んで天風さんの書かれた本が読みたくなり、最近出版された
「幸福なる人生」を購入し読んだが、天風さんの使う概念がなかなか難しくわからない
ところが多かった。そこで本書をもう一度読み直したら、天風さんの教えがストンと
腑に落ちたのである。おそらく本書は誰にとっても天風哲学を理解するのに大いに
役立つのではないかと考えるのである。
中村天風氏の著書をこれから読んでみたいと考えている方には特に、その入門書として
本書を是非お勧めしたい。