勘九朗の公演自体は素晴らしい。NHKのヴィデオを何回も観た・感動する。NHKの放送時間は、2時間40分、このビデオは、本編賞味2時間以下。なぜか?いやな予感がした。
ドキュメンタリーとしてはよく出来ている。しかし、歌舞伎のDVDとしては、相当にひどい商品だ。最低と言ってよい。なぜなら、肝心の歌舞伎本編がカットカットの連続。細切れだからだ。終始、余計な女性アナウンサの状況説明が邪魔。特に、舅殺しの場面ですら、ズタズタに切れ刻まれていて、緊張感も何も消えうせている。ドラマの一番の核心部分が見事に「改変」されている。この歌舞伎の良さは、ほとんどわからない。この殺しのシーンは本来40分くらいある。しかし、このDVDは、10分以下にカットされている。「ちょうさやようさ・・」の夏祭りの声が果たしている役割を、ドラマをすべて完全カットしている。このDVDの製作者は、この作品の価値を1%も理解していない証拠だ。団七の台詞、「悪い人でも舅は親、おやじどん。許してくだんせ」。ここで泣けない。このDVDをOK許可した勘九朗のプロとしての見識を問いたい。
観光ガイドとしては、本当によく出来ている。この歌舞伎を知っている人にとっては、怒りすら覚える商品だ。これを見ても歌舞伎はこの程度のものと思われるとすれば、製作者の責任は重い。
NHKの録画をお持ちの方は、それを大事にキープすることお薦め。解説書の一枚すら付いていないのも、不親切。作品を知りたい人にとっての歌舞伎ビデオとしては、価値は無い。NHKによる完全版の発売を望む。