地方ではシャッター通りがあふれているのに、書店に並ぶ中心市街地本は病状診断の理論もなく、どれも「がんばってます!」という事例ばかり載せている。そんな中で、「成功方程式」と謳ったこの本が類書と違うのは、筆者が事実とデータだけを積み重ね現状をモデル化し、対策シナリオを提案している点だ。例えば「人口5万〜10万人の中規模都市では車依存が高くなると中心市街地は疲弊する」という指摘は、「コンパクトシティ論」が有効な所とそうでない所があることを示しており、都市計画系のまちづくり本には無い視点だ。
全体はゲーム理論をベースに書かれているが、「人口は幸福を求め移動する」というように著者の人間観察に合わせてモデルを拡大しているところも読者にはわかりやすい。私はコンサルタントだが、問題をシステム思考でとらえ、人材が育つしくみ、つまり「学習する組織」をつくらないと時代に取り残されてしまうのは、企業も商店街も同じらしい。中心市街地の当事者が、自分たちの頭で対策を考えるための問題解決手法本として本書は大いに役立つだろう。でも、成功例をただ真似したいだけの人は・・・そういう考え方がうまくいかないことを実感してから読むといいかもしれない。