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中年クライシス (朝日文芸文庫)
 
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中年クライシス (朝日文芸文庫) [文庫]

河合 隼雄
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

職場や家族、多様な問題に直面し、大切な人生の転換点を体験する。最も意気盛んな安定期に見えて、中年ほど心の危機をはらんだ季節はない―。夏目漱石、大江健三郎など、日本文学の名作12編を読み解き、そこに登場する中年の心の深層を探る。わが国を代表する心理療法家による、待望の中年論。

登録情報

  • 文庫: 198ページ
  • 出版社: 朝日新聞社 (1996/06)
  • ISBN-10: 4022641134
  • ISBN-13: 978-4022641137
  • 発売日: 1996/06
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.4 x 1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (14件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 123,053位 (本のベストセラーを見る)
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28 人中、26人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 私は昨年4月の配置換えを機に鬱病を患い、9月から休職中である。もう、職場復帰は目前であるが衰えた体力回復のため書店巡りをした。書店で、本書を見つけ、読みやすそうなので買った。有名な日本の小説12編を素材に中年の危機のありようとその克服法が優しい筆致で描かれた好エッセイである。久しぶりに喫茶店へ入り、フルーツ・パフェを食べながら3時間ちょっとで一気に読み終えた。文学作品を病跡学的に扱うわけではなく、ましてや本格的な論文でもない。12編の作品の分析は心理療法家ならではという冴えわたった感はしないが著者の視点が優しいのである。この優しさが本書の魅力である。肩肘張る読書ではなく、リラックスした読書体験をさせてくれた本書は全体を通して私から重荷を降ろしてくれた。エレンベルガーはフロイトやユングが中年期に重い病的体験をしていることに注目し、「創造の病」という考えを提唱したそうである。読後、私の鬱体験が「創造」に向かう気がしてきた。不思議な魅力をたたえた河合隼雄の一冊である。
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13 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
河合さんの本はどれも読みやすく面白い。それは現場を大事にする臨床心理学者だからなのだろう。要するに相手の顔を見ながら「わかる話」を延々と積み上げてきた経験ならではの語り口がすばらしいのだ。日本の財産だと思う。
箱庭療法や、対談など、彼の経験を生かした彼ならではのジャンルはみな面白い。そして、これ。これである。

「中年クライシス」は有名な小説を選び、それをひも解きながら、彼の世界を語る彼ならではのジャンルだと思う。グリコアーモンドキャラメル(古いか)も真っ青の一冊で何度でもおいしい本なのだ。

題材となった小説を読んでいても読んでいなくても面白い。読んでいなければ読んでみようとも思うし、読んでいれば彼の提供するまた新しい視点に思わずほくそえんでしまうことに喜んでしまうだろう。

選んだ小説はみな一流の小説だ。そして彼の論評もそれに伍して冴え渡っているのだ。遠慮していないからなのだろう。読者は心地よいリズムとテンションに裏打ちされた舞台で、絶妙のリフとフレーズが織り成す極上のインプロビゼーションに酔いしれてしまうことになるのだ。

高名な小説を仮に立て、ただ思うまま吹いているだけなかもしれない。もしくは一流の小説が彼をして描き得ない何かを語らしめているのかもしれない。それはそれ、場をみつけたあたらしい真実がすこし姿を出してみたがっているのかもしれない。

つまりこういうことだ。

ここに読んで面白い本がある。わかりやすくそして神妙な本があるのだ。

このレビューは参考になりましたか?
19 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 勿論中年という捉え方には、個人的な差が大きいものであろうと思う。個別に中年という状態を分析できるほど、その多様性は一般化できないものかもしれない。しかしながらそんなことをいっていてはいつまでたっても中年というアウトラインはつかむことができかねるので、中年を取り上げた小説の物語を追い、その登場人物から中年というものを考えてみる試みが本書である。そういう試みが中年を考えるよすがとなるとともに、非常に詳しい書評になっているのがこの本の大きな特徴だろう。本というものはこのように読むこともできるという、僕としては面白い発見にもなった。鑑みて、自分の中年という状態についてもなんとなく光が見えてくるような思いもして、気分的にずいぶん救われることになった。精神病とまではいかないまでも、中年の悲しさを捉えることで、自分自身の中年に対する処方箋になっているのは流石であると思う。

 この本がいっているように人間にも季節の四季のようなことが起こりうる。いつまでも春でいることが必ずしも幸せというものではない。冬の厳しさが春の喜びも深めるように、あるがままにその季節を体験するという姿勢こそ、本当に深みのある生き方につながるということでは無いだろうか。

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