筆者・三好章人氏の関心領域である精神世界の観点から中島みゆきの詩を30篇取り上げ、分析し、解説したものです。
三好氏は、略歴によりますと、宗教、芸術、哲学、心理学、精神医学に興味があり、仏陀、老子、ニーチェ、ユングに関心を持ってきたそうで、それらの思想を深く勉強されてきたのがよく分かる内容でした。
私の本書の捉え方は、中島みゆきの詩の世界を探りながら、三好氏がその詩から触発された考えを、古今東西に伝わってきた精神世界の素晴らしさを通して説くような展開だと理解しました。
そのため、作詞家中島みゆきの思いとは少し違うと感じた論考もあり、それを受け止め、立脚している考え方を踏まえないと本書の評価もぶれる様に感じました。
三好氏の博学ぶりは十分理解しましたし、どのようなアプローチをしかけても中島みゆきの詩の魅力は損なわれない、ということも確信しました。
私は、中島みゆきの情念ともいうべき女性の悲しさ、辛さ、たくましさが歌を通して心に響く瞬間が好きです。理屈ではなく、感覚的に好きですので、本書のアプローチは新しい試みとして受け取りました。好みは分かれると思います。本というのは、本来そのような性格を持っていますが、本書ではそれを一層感じました。