これは中島みゆきへの熱烈なラブレターだと思う。それも永遠に報われることのない叶わぬ恋の。著者は自分こそが唯一最高の中島みゆきの理解者であり、彼以前の中島みゆき論はすべて愚書であり、無理解の極みだとおとしめる。それはあたかも他の評者が自分の恋敵であるかのようだ。若い頃の体験が原罪として据えられ、その呪縛によってさまよえるオランダ人のように行く場を持てない著者はしかし、純粋であることは間違いないだろう。中島みゆきの故郷を訪ねて帯広を一人彷徨する様は、彼自身がエバンジェリンであり、ヒースクリフでもあるようだ。彼の願いは恐らくただ一つ、中島みゆきと二人だけで会うことだろうと想像する。一読の価値はあるが、疲れる本でもある。