出口氏は現代文の文章読解は論理だ、と明確に主張されそれにより評価されている方です。
そのコンセプトはとても良いです。
日本の国語教育は情緒・感覚的に文章を読むことが先に立ちますが、中学生レベルではそれより先に文章の読解は論理的なものである、ときちんと教えていく必要があると思います。
(情緒・感覚的に文章を読むことは、きちんと文章の読解ができた後。
実は小説は言葉の裏の心情の変化を捉えなければならないので、現代文的にはむしろこちらの方がきちんと読み込むのは難しい。)
そしてこれはそのコンセプトの第一歩目の本であると思います。
これより先に「出口汪の新日本語トレーニング」ありますが、これは文章の読解の一番骨格となる、
・主語と述語がしっかりとれる
・指示語がしっかりとれる
・文の接続が接続詞や接続助詞を軸としてしっかりとれる
の三点をトレーニングするものです。
まあ実は大学受験レベルであっても、このことがきちんとできればどんな文章でも読めるのですが。
(後は基本的な教養があれば。)
そしてこの本で、その論理だというコンセプトをしっかりつかむ。
そういう本です。
ですから、「出口汪の新日本語トレーニング」レベルのことが、きっちりできてから入るべき本です。
(それができていなければ、新日本語トレーニングから始めて下さい。中学受験する子以外は小学生は1−3までで良いです。)
新日本語トレーニングシリーズは文を読むことが主体ですが、中学からは文章を読むことに主体が移ります。
当たり前ですが、文がきちんと読めていないと、文章をきちんと読めるわけがないので、そこが曖昧な中学生や高校生は危ういと思ったら、やっておくべきだと思います。
それができてから入ると、中学に入ったばかりの者でも、これは問題なくできるはずです。
この本はそういう、文章読解は論理だというコンセプトをつかむものとしてはお勧めです。
しかしこれは、実際に氏の問題集をやってみなければわからないと思いますが(ちょっと見ただけではわからない)。
出口氏の文章読解は論理だというコンセプトは素晴らしい。
しかし実際の文章の読み込みが甘いのです。
ですから、この本でコンセプトを把握したら、しっかりと文章を読み込んでいる、読み方を教えてくれる問題集に移るべきだと思います。
大学受験の参考書として出口氏の本が賛否分かれるのはそのためです。
出口氏の本で伸びる子は、基本的に文章が何となく読めている子です。
それにコンセプトがはまって、やることが明快になると伸びる。
しかしそもそも文章が読めていない子は、どういう風に文章を読み込んでいくのかを、丁寧に教えてくれるものが必要です。
大学受験参考書としては、田村秀行氏や河合塾の問題集はそこのところに定評があります。
中学生だと「田村のやさしく語る現代文(第一部のみ)」「中学総合的研究 高校入試問題集 国語読解」などが良いのではないでしょうか。
文章読解が苦手な子は「くもんの中学基礎がため100%国語 読解編」「中学国語の総復習 (くもんの高校入試国語完全攻略トレーニング 1)」などを。
ご参考までに。
2011/5/22追記
出口氏の「システム中学国語」が出ているので合えばそちらの方を利用しても良いです。
合わなければ「『解き方』がわかる国語 文章読解」などを。
よく中学の文章読解の問題集の解答に「〜とあるから答えは〜」とあるが、問題なのはその「〜とある」に辿り着く文章の筋の見方。
その見方を学べるものでなければ参考書としてはダメだと思います。
(最後の演習用ならば構いませんが。)
そのような視点で本屋で見ると良いと思います。