噴飯ものの奇書。原色の派手な表紙に引き付けられて買ってしまったが、お金の無駄。内容は、筆者の自慢と駄弁の垂れ流し。
第一章の大学入試の分析からして、奇天烈としか言いようがない。14pの「国語での不得点を他教科でカバーできない……国語記述力がなければ、先々東大には絶対入れない」のくだりなどは、「私は、国語を五教科で一番苦手としながら東大に入った生徒を複数知っている」と嘯きたくなるほど。15pの「桐蔭を代表とする選択肢問題の多い学校は、確実に東大合格者数を減らしている」というのも、同じ神奈川にあって厳しい選択肢問題をメインとする聖光学院は東大合格者を伸ばしているし、桐蔭は東大が減っているが医学部は増えているという反論ができる。20pの東大合格のための皮算用も噴飯もの。「英語100点、数学60点以上、国語80点以上」の得点目標とあるのだが、筆者は東大入試の指導をまともにしたことがないのだろう。英語が100点を超えるような生徒は、帰国子女でないと出現し難いし、文系数学で60/80(4問中3問完答)などは、青チャートレベルの標準問題が1問しかない東大数学において、現実味に乏しい。それに何より、国語が66.7%の得点目標になっていることが、筆者の東大入試に対する無知を証明している。東大国語は合格者でも5割強が相場なのだが、筆者は100/120も夢ではないと法螺を吹いている。
肝心の中学入試国語の読解法についても、眉唾物の記述に満ち満ちている。筆者氏の方法論は、自分の中にもう一人の自分を育て、その自分と対話(ダイアローグ)することによって、記述問題を解く、というもの。しかし、どうすればそのもう一人の自分が育つのかについては「読書」「音読」を薦めるのみ。
当方、私立中高一貫校で東大受験生を何度となく指導した経験を持つ現職国語教諭である。筆者氏よ、反論があったらどうぞ。何なら、実名で批判本書くのもやぶさかではない。