厳密な理屈からいうと、「中央ユーラシア」という地域概念を採用しているので、「各国史」ではないが、これらの地域は近年国民国家として独立したばかりであり、共通の文化・歴史的基盤を持つため、このような用語を用いる意味がある。
本書はこれらの地域についてのほぼ初めての通史で、ソ連の崩壊や未公開資料の発見、考古学的研究の進展などを踏まえてかかれたものである。旧版の「各国史」では「北アジア史」「中央アジア史」とされていた部分に相当する。
地誌学、考古学的な観点からこれらの地域の特徴を概説し、言語圏などを確認した後、中国とのかかわり、クシャーン朝やウイグルの興亡、イスラーム化、トルコ化、モンゴル、ティムール帝国の征服、そしてソ連の併呑、独立など骨太の歴史が展開される。相当に充実した、読み応えのある一冊となる。
ややなじみのうすい地域であるため、王朝系図、参考文献、年表が充実しているのはありがたい。