タイトルに惹かれて履修することにしたのでしたが、「まえがき」の部分で早くも「中央アジア=文明の十字路、シルクロード」という概念を考え直すべきではないかと思いました。私を含め多くの日本人は、この言葉から想定されるロマンあふれる時代を憧憬の念とともに好むようです。しかしながら、決して中央アジアという地域は、文物の通りみちであっただけではなく、西方あるいは東方からもたらされる当時のあらゆる最新情報をいち早く取り入れた独自の文化を創り出した地域であり、進取の気風に富んだ人々の国々があったところでした。そして私にとって新鮮だったのは、中央アジアの最盛期といわれる時期はこの時期よりのち、西方からのイスラーム化、東方からのテュルク化(トルコ系のひとびとの移住)が進展した結果もたらされたテュルク・イスラーム時代であったということでした。シルクロードの時代で興味を終わらせることなく、その後のもっとも華やかな時代、チンギス・ハーンから続く多くの国家やティムールについて系統立てて理解することができる得難い教科書です。