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当初香川は、台本の迫力に引きこまれて自らこの映画に出演することを希望する。ところが希望がかなって訪れた中国の撮影現場は、彼の言葉を借りれば「映画の100倍は狂っていた」。ホテルのメイドに物は盗まれるわ、何事にもいいかげんなスタッフ達のせいで撮影は遅れまくれるわ、挙句の果てに麻袋に入れられたまま放置されてスタッフに土足で踏まれ、あまりのストレスに十二指腸潰瘍で入院したかと思えば、さらにそこで恐怖の治療が待っていた・・
日本人がなかなか垣間見ることのできないディープな中国の現実にいきなり放り込まれたとまどいや苛立ち、そしてやりきれなさを、香川はその一方で湧き上がる映画への情熱と共にリアルに描いている。そんな中国との格闘の中で極限状態に追い込まれた彼は、やはり戦争の中で極限状態に置かれていた日本兵に次第に同化し、当初はどうしても理解できなかったという、自分に親切にしてくれた村人に斬りかかっていく日本兵の心理状態をいわば身体で「理解」していく。
「日中友好」という言葉の白々しさに国民の多くがうんざりし始めている今、映画ともども「日本人として中国に、そしてあの戦争にどう向き合うのか」ということを考える上で、格好の材料を提供してくれる本だといえるだろう。
でも、何よりすごいのはチアン・ウェン。終章のオチはかなりうけました。
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